ハート乱用する系上司に日々苛ついています【文スト】

ハジメマシテが3個 ページ28

両手首の手錠が擦れてちりちりと痛んだ。
この程度なら外すのは容易ではあるけども、逃げた所でどうにもならない。

「凄く厭そうな顔だね、そんなにうちが嫌い？」

『嫌いかと云われたら…嫌いですね』

面倒は嫌いだ。
態々進学で来たヨコハマでこんな大抗争が起こってるだなんて知らなかった。

「…へえ、ねえ。君、名前は？」

『森見Aです』

あまりにさり気無く聞かれたので、本名を答えてしまった。不覚。

「…A…さんか。いい名前だ」

真意の読み取りが難しい笑みを浮かべ言うものだから、寒気がした。
普通の女の子ならときめきの1つでも覚える様な神秘的(ミステリアス)な顔なのだが。

『貴方のお名前は？』

目を見据えて、彼に尋ねる。
…予想するに、この人はポートマフィアのかなり上の立場の人間なのだろう。

「僕は…太宰。太宰治だよ」

太宰…治？…小説家みたいな名前だね。
確か、大分昔に人間の本性を抉り出す本を書いていた…筈。

記憶は曖昧で、判然としない。

『なんとお呼びすれば』

「…そうだねぇ、治くんでいい」

凄く上から目線だね。
まあ、いいか。流されるままに行ってやろう。

ーーー
文ストの3期で、急に中也出てきて吃驚しましたね。太宰さんの一人称が「僕」なのと、口調が子供っぽい所にも感動しました。
なので、過去編…というか、出会い編である「ハジメマシテ」での太宰の一人称は「僕」にしてみました。おかしかったらコメント欄で教えてくださいね。すぐ直します

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あずきいろ

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