情報提供6回目(あっすん) ページ8
しばらくの間沈黙が続いたかと思うと舌打ちをして中也くんが言う。
「チッ、分かったよ。だが、先に首領にこの件について伝えてくる。少し待ってろ」
そう言った瞬間に電話が保留モードになる。
僕はホッと安堵の息をつく。
とりあえず話をこじつける事は出来た。後は森さんがどう出るかだなぁ。
そう考えているとローワンが心配そうに僕を涙の溜まった目で見上げて聞いてくる。
「ねぇ、A弟さん大丈夫だよね?助かるよね?」
そう聞いてくる姿に申し訳なくなる。
やっぱりローワンにあの拷問の光景は刺激が強すぎた様だ。多分ずっとあの弟さんが心配で仕方なくて泣きそうなのを堪え続けているのだろう。
僕は務めて明るい笑顔で頷く。
「勿論だよ。今やっと話をこじつけれた。後は僕の交渉次第。ローワンは知ってるだろう?僕が1度だって交渉に失敗しなかったのをさ」
「……うん!」
僕がそう言うと明るい笑顔でローワンが頷いた。良かった。泣かないでくれた。僕が安堵した途端電話がまた繋がり不機嫌な中也くんの声が聞こえた。
「おい千里眼。首領がその取引に応じるってよ。取引場所や時間は手前が決めていいってよ」
取引場所を決めていいとは大きく出たなぁ。僕は頭の中で何処が1番安全に取引出来るかを考えてから口を開く。
「分かりました。取引は明日の正午丁度で。取引場所はフランス山、港の見える丘公園でお願いします」
「わかった。それじゃあまた明日だ」
中也がそう言った途端一方的に電話が切られた。
はぁ、全く。
「信用されてないなぁ僕」
ま、そりゃあそうだよね。
僕は情報屋。
しかも特務課、武装探偵社、ポートマフィアと横浜の三大異能組織に情報を売っているんだから。
だから僕はこの横浜で最も注意すべき人間って言われてるんだよね。
僕はぼんやりと天井を見つめ自分のあだ名と巷で通っている噂を思い出す。
横浜の全てを知るもの『千里眼』。そしてその正体は最強情報屋である。
まるで都市伝説だと思い苦笑した。
ーーー
ち、力尽きたぜ……。
フランス山。港の見える丘公園はポートマフィアと探偵社が密会した場所です。
それじゃ後は頼んだ椿!
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