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『最後まで言わせたら終わりだからね。』
田中「何、俺なに言うと思われてんの?」
『仮装しろって言うつもりでしょ?言わせないよそんなの。』
田中「はい、いま言いましたー!俺の勝ち!」
しまった。
ついつい樹くんの言葉に乗せられて言ってはならない禁断のワードを言ってしまったけれど、目の前の樹くんの顔がニヤニヤしていて腹が立つ。
こんなに口角が緩んでる樹くん、初めて見た。
田中「って事で、正解者にはとびっきりのプレゼントがあります!」
そのまま樹くんはにやけた顔のまま「ちょっと待ってて♡」と語尾にハートをつけて立ち上がり、そのまま寝室に向かった。
あっちには荷物が置いてあるから、まぁあそこから何かを出してきて、「〇〇のプレゼントです!」ってコスプレ衣装を渡されるんだろう。
ここまで察してしまっているんだからもう覚悟を決めなきゃいけないけど、まさか本日二度目のコスプレをするとは思わずに頭を抱える。
てか何時にやってんのよ。もうハロウィン終わるよ。
てかもう12時過ぎたし。11月来たし。
寝ろよ、私。
寝室からバタバタと戻ってきた樹くんの顔はさっきよりも口角が緩んでて、この後の展開が容易に想像できてしまい目を逸らす。
樹くんはそんな私を一目見て、またニコッと笑った後、私の方に一歩、二歩近付き、背中に隠している「それ」を勢いよく私の目の前に差し出した。
田中「はい、プレゼント♡」
『………………。』
田中「……ねぇ、なんかリアクションしてよ。」
『……思ったより際どいのが来たなぁって思って。』
樹くんが差し出してきたのは所謂「ポリス」とやらだった。
ご丁寧にハンガーにかけてあるからスカートの短さがよく分かるけど、渋谷あたりを歩いている女子高生よりもスカートの丈が短い気がする。
というか私が高校生の時ですらこんなに短いの履いてないし、そもそもこんなに短いスカートを人生の中で履いた事があるかどうかも怪しい。
田中「これ着てください♡」
『……もう12時過ぎてるからこれ着なくてもいいんだよ。』
田中「そんなルールないよ?」
『いま作った。私が作った。』
田中「ねー、お願い!彼女にコスプレしてもらうの夢だったの!てかもうこれは男のロマンなの!だから一生のお願い!着てください!!」
『一生のお願いはもっと大事に使って!!』
田中「お願い!」
『やだよ!』
田中「お願いします!!」
『やだ!!』
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