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木村「……何故、男達を誘惑した。」
『興味がありますか?』
木村「私はお前が男達を誘惑した理由なんざ微塵も興味はないが、お前みたいな「淀君」の手の内で転がされた馬鹿な男達は気になるだろうな。」
『……ゆっくり自分の心に問いかけてみてください。そしたら自ずと答えは見えてくるはずですから。』
「誤魔化してんじゃねぇよ!!」
『あなた達じゃなくて。……私は教官に言ってるんです。自分の胸に手を置いて考えてみてください。ほら、こうやって。』
木村「………。悪いが私は君みたいな餓鬼はタイプじゃない。誘惑するならもっと馬鹿な男を誘惑しろ。」
『………アドバイスありがとうございます。』
木村「……君みたいな賢い生徒が……、失望した。さっさと教場から……いや、警察学校から出ていけ。」
『………失礼します。……あ、比嘉くん、』
杉野「…………っ、!?」
福原「えっ…………!?」
樋口「……キスした、」
『…………あなたと稲辺くんの事は唯一本気だった。……その男らしい目付きと、性格が本気で好きだった。』
杉野「………………、」
『私はここを出ていくけど、忘れないでね。……あなたに本気で惹かれてた女がここにいる。って。』
杉野「……満、ちゃん、」
『……またどこかで。』
木村「……………誘惑された生徒は罰として反省文を提出する事。警察官に私情は禁物だ。退学が妥当な判断なのだが……今回は反省文で退学は見逃してやる。……解散。」
「「…………………。」」
杉野「………………。」
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木村「……………まだいたのか。」
『……答えは出ましたか?』
木村「出す気が失せた。」
『………遠野章宏。』
木村「…………なんのつもりだ?」
『私は、彼の事をよく知っています。それを知っている人物がいるかどうか探していただけです。男はいくつになっても色仕掛けに弱い生き物です。だから誘惑して情報を聞き出そうとした。それが質問の答えです。全員に「知らない」と言われましたけど。』
木村「………………。」
『最後はあなたも誘惑するつもりでした。誘惑して、その流れで彼についての情報を聞き出すつもりだった。あの夜、遠野章宏の身に何があったのか。』
木村「………………。」
『……あなたは警察学校の生徒を篩にかけられる立場じゃない。そんなの自分が一番分かってるでしょう?……人殺し。』
木村「…………なんとでも言え、もう慣れた。」
『………………。』
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