episode 102 ページ12
・
『おかえりなさい、神谷さん!』
神谷「ただいま。…いい匂いしますね。」
『ちょっと待ってくださいね、もうすぐ出来るので。』
お兄ちゃんとさっきあんな会話をしてしまったので、今日が神谷さんと食べる最後の夜ご飯になる。
なのでちょっと気合を入れて、普段だったら絶対にしないようなオシャレな盛り付けを考え、お皿に盛る。
鍋の中でスープがぐつぐつと煮立っており、きっと、いい匂いが神谷さんがいる洗面所まで届いているだろう。
神谷「…本当に作ってくれたんですね。」
『当たり前です、二階堂の恩返しなんですから。』
神谷「…嬉しいです。」
『…それと今日、最後の晩餐になりそうなんで。』
神谷「……お兄さんと仲直りしたんですか?」
『…………はい。』
神谷「…良かったですね。いつ頃出るんですか。」
『えっと、明日の昼頃には荷物を持って出ます。』
神谷「マンションでいいなら送ります。」
『え、あ、すいません…。』
神谷「いえ。」
明日、お兄ちゃんに呼び出されている【ホテルグランドすみだ707号室】には2時15分に来てくれと言われた。
そんな時間を刻まなくてもいいのにと思ったけれど、犯人と鉢合わせしないように考えてくれたのだろう。
翔太さんの奥さんを殺した犯人と、明日対峙する。
そう考えるだけで少し緊張してしまうけれど、お兄ちゃんだけじゃなく、翔太さんもいるらしいから大丈夫。
『…また、遊びに来てもいいですか?』
神谷「もちろんです。いつでもどうぞ。」
『じゃあ、お土産持ってきます。ケーキ。』
神谷「…待ってます。」
なんだか神谷さんの家が驚くほど居心地が良くて、正直言ってしまえば離れるのが寂しいし、離れたくない。
一緒に気になった映画を見て、我ながら美味しいご飯を一緒に食べて…その生活が楽しくて仕方なかった。
ここ最近で一番楽しかった出来事を聞かれた時、迷わずに神谷さんとの生活だ。と答えられるだろう。
そのくらいここで過ごした時間は最高だった。
『…味、大丈夫ですか?』
神谷「美味しいです、凄く。」
『…美味しいって言ってくれるの、嬉しいです。』
神谷「…今度、作り方教えてください。」
『神谷さん、ご飯作るんですか。』
神谷「たまに、ですけどね。」
『分かりました。レシピ書いておきますね。』
神谷「…ありがとうございます。」
今の神谷さんとの会話で余計に明日ここを出るのが嫌になってしまったのは、神谷さんには内緒にしておこう。
1001人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません!あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます!作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます!全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした! (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました!この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです! (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ