【ツイステ】おいだせ、おんぼろ寮(仮)

181.週末プレパレイション ページ31

翌日ー昼


香ばしいバターの香り、砂糖に小麦粉、お菓子というのは分量と手順を違えなければ大体形になるものだ
そしてワンピースを着た女子がエプロンをしてケーキを作るなど聞こえはすごくいいと思う
どんどん混ざり合っていくボウルの中の材料たちはきっと甘くて美味しいケーキへと姿を変えてくれることだろう


エース「おー、お前本当に料理できんのな」


『…


あ？』



どうも、こんにちは。オンボロ寮編入生女子です

本日は待ちに待っていたはずのハーツラビュル寮でのトレイさんのケーキを囲むお茶会
無償で作って貰うのは流石に申し訳ないのでこうして手伝いを申し出たのだが


ユウくんが、いない


あとついでだけどグリム


なぜか？


モストロ・ラウンジにホールスタッフとして駆り出されたからだ



話を聞いたところ平日のシフトを全て休みにとお願いしていたらしい
理由はどう考えても自分である
多分というか、学校に行かずに寮に引きこもっていた女に献身的なセラピーをしてくれていたから
それがツケとして週末に回ってきたと言う

どう考えても私が悪いのだが、よりによってピンポイントで今日
しかも半日。お茶会にモロ被りで結局ユウくんは欠席を余儀なくされた
私も留守番をすると言い出したところ「Aさんは俺の分まで楽しんできてください」
と宥められ今はどこにも向けられないモヤモヤとした気持ちを生クリームにぶつけている


『…ユウくんと、お茶会したかった』

デュース「落ち込んでも仕方ないだろ。ユウとグリムに持って帰ってやるんだろう？」

『…うん』

エース「なら美味いケーキ作ってやろうぜ？なっ？」

『…おん』


ところでお前らは手伝わんのか、慰めてくれるのは嬉しいけどよ



トレイ「なんだお前達、女子の前だと大人しくできるんだな？」



『…トレイさん』

トレイ「仕上げの生クリームできそうか？力作業だから大変だろ」

『…いや、


感情に任せて混ぜてたら割とすぐ固まりました。ほら…』

トレイ「そ、そうか」





『…ユウくん』


ダメだ、生クリームでは全く気分転換にも発散にもならない。虚無感は増す一方である
窓の外を見上げて空に向かって呟くが彼の声は記憶の中でしか聞こえてこない


…あ、あの雲なんかユウくんっぽいな


…もしかしたらユウくんなのかな(限界)

182.監督生シック→←180.前世で心が病む言葉1位

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す