『匂いつけても、いいですか？』【歌/い/手】

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あれから少し時間が経ち、待ち合わせ場所についた。平日な事もあり、いつもより人は少ないがやはり大通り、わらわらと人は居る。


その人の多さにうげぇと顔を歪めさせながらも天月さんらしい人を探す。ツイッターでは、パーカーに黒のジーパン。そしてマスクをしている格好だそう。


まふまふさんやそらるさんもそうだけど、歌い手ってマスクするの好きなのかな。
まぁ、とか言う私もマスクをつけているのだが。


ツイッターからの天月さん情報を頼りに、それらしい人を探すと、駅のホームの柱の前で立っている、一人の男性がいた。


その男性の格好は、天月さんが記した特徴を全て纏っている。


あの人、だよね？多分。しかし、五分前には来たのに先越されてたか。なんて、少し悔しい思いを胸に、勇気を出してその男性に話しかけた。



『あの、天月さん。ですか？』
「…ぁっ、はいえっとぉ」
『私、ねこけいうたいてです』


簡潔な言葉だけ伝えると、天月さんは目をまん丸にさせて驚いた様な顔をつくった。
え、どうしたん


「ね！ ねこさっ…！ ん "ん"、ここじゃあ何だし、僕の知っているカフェにでも行きませんか？」


その言葉に頷いて、歩き始めた。
な、なんか、最初荒ぶってたけど大丈夫かな。触れないでおこ。

しっかし、今日の天気はいい快晴だ。暑すぎもせず、寒すぎもせず、出かけるにはちょうどいい。

天月さんと、たわいもない話を続けているとシンプルなカフェについた。


「ここ、結構オススメなんです」


って笑う天月さんの笑顔が眩しい。なんか高校生の様な青春の笑顔だな(？)

どうぞ、とドアを引いてくれて私が最初に入る。うっわぁ、めっちゃ紳士……こういうとこモテそうだね。


カフェの内装も、シンプルだけど洒落てる。ふーん、中々にオシャンティーじゃん。(？)
店員さんに案内され席に着く、木で作られてるのって心が落ち着く感じがして好きだ。



「……初めまして。僕は天月と申します。えぇと、コラボの件受けてくださりありがとうございます。」
『ぁ、いえ。とんでもない。天月さんこそ、私みたいなものとコラボしてよろしいのでしょうか』
「はい！ ねこさんの歌声にいつも癒されてます！ですから、こうやってコラボできるのがすごく嬉しくて…」


そこまで言って、恥ずかしそうに頬をかく天月さんは好印象だ。そこまで言われるとさすがに、私も照れるな。

照れ隠しをする様に、メニューを開いた。




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