３週間【青】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:25 hit、合計:471,471 hit

＊ページ48

実習も折り返し地点に差し掛かり、今日は山田先生からアドバイスをもらったりしていつもより１時間近く帰りが遅くなってしまった。

半分程終えた実習を振り返った時、充実した気持ちと共にあと7日間でおしまいになってしまうという寂しさもある。

実習が終われば私はまた大学に戻り、本格的に教師に向けて就活が始まる。

生徒たちもやがて受験を迎えてそれぞれの道を歩み出すだろう。

渡辺くんは…どんな道に進むのかな。

気付けばまた渡辺くんの心配をしていた。

今日もコンビニで彼の姿を確認する。

冗談抜きで、本当に毎日バイトしてるんだ…

そう思いながら店内に入ると、今日は一瞬だけこちらに目を向けて、感情のない「いらっしゃいませ」を言う。

私は今日もお弁当を選び、レジに持っていった。

「渡辺くん…まだ怒ってる？」

渡「480円です」

「怒って…るね」

渡「…」

「許してもらえるまで何回でも謝る。本当にごめん。」

渡「…」

ずっと下を向いて全く視線を合わせてくれない。

「本当に毎日バイトしてるんだね…ご飯ちゃんと食べてる？」

渡「…」

返事がなくても、何か話すことでまた心を開いてくれるきっかけにならないかなって、そんな期待を込めて私はバカみたいに1人で話し続けた。

「そうだ、明日は小テストやるから頑張ってね」

渡「…」

「…ごめんね、いっぱい話しかけちゃって。おやすみ。無理しちゃダメだよ」

結局渡辺くんは最後まで私を見ようとせず、話そうとせずだった。

これは持久戦になりそうだな。

めげずに、明日も授業を聞いてもらえるよう、許してもらえるよう話しかけよう。

少しだけ凹んだけど、そう決意して渡辺くんに挨拶をしてからコンビニを後にした。