３週間【青】 (ページ40)

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今日も空き時間は図書室に行こうかなって考えながら廊下を移動していたら、校庭で授業をする照の姿が窓から見えた。

思えば私たちはお互いの授業する姿を見たことがない。

つい嬉しくなって、親心のような気持ちで照の授業をしばらく見守ることにした。

しかもA組の男子たちの授業だ。

他の科目のことはよく分からないけれど、今日は女子の体育は違う先生が見てるってことみたい。

照の声は窓を越えてもよく聞こえてきた。

今日は陸上の授業なのか、生徒たちが短距離走をするために順番にスタートラインに並んでいる。

ストップウォッチを手にしながら、ホイッスルを首から掛ける照の姿はもう数年働いてる体育教師にしか見えない貫禄があった。

そして今は無意識に渡辺くんの姿を探す自分がいて、本当に呆れてしまう。

彼は気怠そうにしながらも、時折口を大きく開けて笑いながら宮舘くんや阿部くんたちと楽しそうに話していた。

照のホイッスルの合図で生徒たちが順番に走っていく。

渡辺くんの番になり、なぜか私も緊張しながら走る姿を見守る。

ピッという照の合図でスタートした彼は綺麗なフォームで走り切り、走った後は腰に手を当てて息を切らしている様子だったが、笑顔の照に何か話かけられるとガッツポーズをして同じように照に笑顔を返していた。

あの2人いつの間にかあんなフレンドリーになったんだ。

そう思って見てると微笑ましい。

やり切ったという感じの渡辺くんは、嬉しそうに友だちのとこに駆け寄って行った。

そこには高校三年生らしい無邪気な渡辺くんがいて、自然に私も嬉しい気持ちになる。

そしてやっぱり彼には残りの高校生活を、できれば余計なことは考えずに、全力で笑顔で楽しく過ごして欲しいなって、心からそう思った。