３週間【青】 (ページ38)

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Day9 ページ38

今日は何だか授業とは違う緊張感がプラスされてる。

原因は、渡辺くん。

ホームルームも授業中も全く渡辺くんの方を見れなかったし、あえて見ないようにした。

逆に渡辺くんからは昨日に引き続きものすごい視線を感じてる。

こんな時1番前だと、痛いほど視線が刺さるから辛い。

なんとか授業には集中して、今日も時間内に目標の所まで進めることができた。

A組の授業のあとの3限は次の授業までの空き時間となる。

クラスの子たちは、次の体育に備えて更衣室へ移動していった。

のんびりと黒板を消したりしていたら、

渡「センセー、俺らの着替え堂々と見る気？」

突然後ろから渡辺くんに声を掛けられる。

ビックリして振り返った時にバチッと目が合った。

すぐ後ろに立っていた彼が唇を尖らせて少し睨むように私を見下ろしている。

渡「やっと見てくれた」

！！

不覚にもその言葉にキュンとしてしまうし、渡辺くんも耳まで赤くするくらいなら言わないで欲しい。

せっかく見ないようにしてたのに…

もうやだ。何この気持ち。

どうしたらいいの…

そんな感情につい浸っていたけど、渡辺くんの俺らの着替えという言葉を思い出しハッとする。

周りの男子たちは次の体育に向けて着替えを始めていた。

え？

「わっ！着替え！あ、そっか男子は教室で着替えなんだね？ごめんごめん！」

私のことなんか気にせず上半身裸になり始める生徒がチラホラいて、慌てて教科書やらペンケースやらをかき集める。

渡「ふは！慌てすぎ。笑」

楽しそうに声を出して笑う渡辺くんに心臓がギュっとなる。

「教えてくれてありがと！」

まともに顔を見れずにそれだけ告げて、急いで教室を出た。

はぁ…

心臓がバクバクしてる。

着替えに気付かなかったバクバクなのか、不意打ちで目が合ってしまったバクバクなのかは分からない。

だけど、明らかに心が潤い顔がニヤけてしまう自分がいる。

…どうしよう。

…もしかして私、渡辺くんが好き？

そう思うと、心臓が更に加速するようにバクバクする。

でも、ダメ。
…ダメだよ。

私は実習生で、彼は生徒。

仮にも先生と生徒なんだ。

それに私は今ここに恋愛をしに来てる訳じゃない。勉強をしに来ているんだから…

加速しそうだった気持ちに、もう一度冷静になって蓋をする。

渡辺くんだって実習生という存在がただ物珍しいだけ。

きっとそうに決まってる。