３週間【青】 (ページ28)

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Day5 ページ28

いつもとは違った緊張感で教壇に立ったけれど、生徒たちの反応も特に普段と変わりなかったのでほっとした。

例の二人は顔こそ上げないけれど、今日は携帯を出すこともなく授業を受けてくれていた。

C組の授業後に深澤くんと佐久間くんに声を掛ける。

「2人とも、昨日はごめんね」

佐「先生気にしちゃダメだよー？」

深「何かあったらいつでも俺たちに言ってね！」

「ありがとう」

すると深澤くんが、佐久間くんに聞こえないように私に話しかけてきた。

深「あ、先生さ…なべと何かあったの？」

「渡辺くん？何かって…何？」

そういえば昨日阿部くんにも同じこと聞かれたけど…

深「いやいや！別に！何もないならいーの」

「？」

いったい2人して何でそう思うのかさっぱり分からなかった。

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今日は残すところこの帰りのホームルームで終わり。

配布物がいくつかあったので、1番前の列の生徒に順番に渡していく。

渡辺くんに手渡す時に、ふいに手と手が触れてしまった。

急に昨日のことを思い出してしまい、思わず手を引っ込める。

その拍子にバサバサっとプリントが落ちてしまった。

ドキドキとうるさい自分の心臓。

「ご、ごめんね！」

しゃがみながら急いでプリントを集めていると、渡辺くんもしゃがみ込んで一緒に拾い集めてくれる。

ずっと渡辺くんの視線を感じる気がするけど、見れるはずがない。

すると、私にしか聞こえないような小さな声で、

翔「…昨日みたいに顔赤いけど、なんか動揺してる？」

「！？なっ…！」

そんな風に意地悪に言ってニヤッと笑ってる。

物凄く言い返したかったけど、ここは教室。

昨日にしろ今日にしろ、男の人と接触したのが久しぶりだったから、ちょっと動揺しただけ。

ただそれだけの理由。

そうやってなんとか冷静を保ち、渡辺くんの言葉は無視してプリントをまた配り始めた。

その様子を井沢さんに見られていたとも知らずに…