渡辺先輩×キャンプファイヤー ページ37
「あの…すいません…ありがとう…ございました」
今更になって恐怖心がのし掛かり、自分でも体や声が震えているのが分かった。
渡「…キミさ、アホなの?」
はぁ、というため息と共に支えてくれていた両手も離され、呆れたような表情でこちらを見ている。
その時初めて目が合った人。
そう、それは3年生の渡辺先輩だった。
彼もまたサークルで有名だった。
学祭や大会後などには、毎回女の子たちに囲まれて写真を撮ってる姿を目にしたことがある。
それだけでなく、普段から常に彼の周りには男女問わず人が溢れているのが印象的だった。
塩顔イケメンと1年の女の子たちがキャーキャー話していたのも確か聞いたことがあるし。
明らかに陽キャな渡辺先輩は少し苦手だったが、たった今のアホ発言で、さらに怖くて苦手な人という印象に上書きされた。
渡「まぁ、座ろうぜ」
そう言って近くの段差に腰を下ろして私を見る。
先輩はまだここにいるつもりなんだろうか…
言われるままに先輩から少し離れて腰を下ろす。
未だに私の手は震えていた。
渡「…なんでこんな暗い所1人で歩いてたの?」
「ちょうど帰ろうとしてたとこで…」
渡「酒入った男になんて、簡単にヤられちゃうよ?」
「…!」
追い討ちをかけるように脅されて、もう何て答えたら良いか分からなかった。
渡「あー…ごめん。さっきからちょっと言い過ぎたね。だけどマジで気をつないと危ないよって話」
言い方は少々キツイけれど助けてもらったことには変わりはない。
「そう…ですね。先輩が、さっきの先輩たちのこと呼びに来てくれなかったら、私…」
怖くて今もまだ手が震えていた。
渡「あ、あれはね全然嘘なんだけども」
「え?」
渡「探してなんかないし、2人を呼んでる女の子もいない」
「えぇ!?」
嘘だったってこと…?
渡「いるんだよね、毎年。普段ろくに練習来ないくせにこういう場所だけには顔出すクソみたいな連中が」
「…」
渡「俺嫌いなの。そーゆー人。やることはちゃんとやろうよって思うよね」
さっきから聞いてて思うのは、多少表現が不器用なだけで、渡辺先輩は何も間違ったことは言ってないということ。
そして思っていたよりもしっかり真面目だということ。
「先輩たちと気まずくならないんですか…?」
渡「どうせ酔ってて今日のことなんか覚えてないっしょ」
そう言ってフッと初めて笑顔を見せた。
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由希(プロフ) - こちらも読ませて頂きました!やっぱり渡辺先輩いいですね。続きがあったら読みたいです!これからもほかも読みますね! (8月2日 10時) (レス) @page40 id: 4a86c3b00e (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - 物語の構成が抜群でした!本当にキャンプに来た気分になれてワクワクしました。全員分の続きが気になりますが、やはり最後の渡辺先輩が印象強いです。苦手だったはずなのになぜか気になり、いつの間に好きに!?ってなったら最高ですよね。読んでみたい!! (2022年2月23日 19時) (レス) id: d946c1f5c6 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - あしゅさん コメントありがとうございます。そんな風に言って頂けてとても嬉しいです(涙)誰かしらの続きは必ず書こうと考え中なので、その時また覗きに来て頂けたら嬉しいです!! (2021年10月1日 12時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
あしゅ(プロフ) - はじめまして!どのお話も続きが気になるものばかりでキュンキュンしながら読みました!出来ることなら全員分の続きが読みたいです!! (2021年9月30日 22時) (レス) id: 0768c9f17f (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - sakiさん こちらの作品も読んで頂き、そして貴重なご意見ありがとうございます^ ^是非参考にさせて下さい!続編前向きに検討したいと思います^^ (2021年9月27日 11時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:R | 作成日時:2021年9月8日 2時