ヒモカレ【青】

#15 ページ15

「ごめん、言いすぎた…」




少し冷静を取り戻し、私は素直に翔太に謝った。






だけどこれがかえって翔太のプライドを傷付けたらしい。






翔「…お前の本音は結局それだろ？」





「…」





翔「自分は働いてて俺はニートで。だらしない俺にイライラが募ってガッカリして」






翔太も翔太で、火がついたように喋り出す。






「何それ…私が悪いの？」





翔「…もういい。出て行けばいいんだろ？」





「ちょ…そこまで言ってないじゃん。何でそうなるの？卑屈になりすぎ！」






翔「そう…それ。俺、多分お前といるとどんどん卑屈で嫌な奴になってくんだわ」






「ほら、…また私のせいにするじゃん」





翔「けどさ、お前最近めっちゃため息ばっかついてたの自分で気付いてる？」






今日の愛ちゃんの指摘もあって、私は何も言い返せない。






翔「…まぁ、そうさせてんのは俺なんだけど」






翔太は俯きながら自嘲気味に言うと、立ち上がって身の回りの物をまとめ始める。





「…何してるの？」






私の言葉を無視して黙々とリュックに荷物を詰めていく翔太。






「ねぇ…翔太ってば！私も協力できる事あれば何でもするから。ちゃんと話そうよ！」






ほとんど叫ぶように、私は翔太の腕を掴んだ。






翔「…っ、だから！」






翔太が私の腕を振り解く。






翔「そういうのが全部プレッシャーなんだって…！」






「…プレッシャー？」






翔「お前の視線とか、言葉とか態度とか！…無意識なんだろうけど、時々すげぇしんどいんだよ」







そんな…







「私が翔太を追い詰めたって言いたいの…？」







翔「…本当の俺は、お前が思うような人間じゃないから。
だからもう俺に期待すんな」






翔太はそれだけ吐き捨てるように言うと、バタンと音を立てて家を出て行った。

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