ねぇ、ちゃんと聞いて【青】

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今日もありきたりな1日が終わった。





２年生に進級しても、特にこれといった変化もない。





部活をやっているわけでもないし、


うちの高校はバイトが禁止なので、放課後に暇を潰す手段もない。






唯一の楽しみは、親友の久美と放課後に時々カフェに行く事くらい。






だけど久美は今日予定があって一緒に帰れないし…






高校生って、もっとキラキラした毎日を過ごすって思ってた。





マンガやドラマの見過ぎなのかな？






なんだか思い描いていた高校生活とは違うよなぁ、

…なんて、改めて考えながらボーっと駅のホームで電車を待っていた。






すると、斜め前に同じ高校の制服を発見。







少し明るい髪色、片手をポケットに入れて、もう片方はスマホを弄ってる。





チラッと見えた横顔。





　

あ、
　



渡辺くんだ。







イヤホンをして、音楽でも聴いているらしい。






彼は校内で目立っているので、嫌でも目に入ってくる。






だけどこんな風に駅で見かけたのは初めてだ。







私の通う高校は、文系理系と合わせて12クラスもあるマンモス校。



…にも関わらず、彼は学年ではおそらく知らない人はいないくらい有名人。








入学当時から「イケメンがいる」と騒がれていて、校内でもいつも目立っていた。






彼の周りにはいつもたくさん人がいて、まさにキラキラした高校生活を送ってる代表みたいな人。






そう、私とは対極にいる人間。






２年になって隣のクラスにいる事は知ってはいたけど、もちろん話したことなんて一度もない。






チャラそうで話も合わなそうだし、そもそも話す話題すらない。






いつも大勢でいるのに、今日は1人なんだ…




そんな興味本位かつ退屈しのぎで、

密かに渡辺くんという人間を後ろから観察していた。

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