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『Aー!』
昼休み、
私の名を元気に呼ぶ声に顔を上げる。
「あ、さっくん。なに?」
同じクラスのさっくん事、佐久間大介が私の机までやって来た。
彼は私と唯一同じ中学校の出身。
中学時代はほとんど接点が無かったけど、受験の日に会場で出会い、同じ高校を受けると判明してから一気に仲良くなったのだ。
佐「なんかさぁ、翔太が呼んでるよ。Aの事」
…翔太?
そうして彼は教室の入り口を指差す。
久「えっ?なんで渡辺が?Aに何の用なの?」
明らかに敵意を剥き出しにした久美が、不振そうに眉をひそめる。
…ていうか、
久美の口から渡辺くんの名 前が出ただけでなんだかドキっとしてしまう。
当たり前だけど、存在は知っていたようだ。
ドキドキしながら教室の入り口に視線を移せば、
腕組みをして扉に寄りかかりながらこちらを見ている渡辺くんと目が合った。
それだけでバクバクと心臓がうるさく暴れ出す。
「さっくん、渡辺くんと知り合いなの?」
佐「うん!1年の時に購買で先輩からカツ上げされそうになったとこを助けてもらったんだよねー!」
久「は?何その話。聞いてないし許せないんだけど」
久美は私と仲の良いさっくんとも自然に仲良くなった。
時々3人でカフェに行く事もあるくらいだ。
佐「あれ?話さなかったっけー?あん時はマジで翔太たちに助けてもらったんよ」
「呼び方も親し気だし、さっくんが渡辺くんと知り合いだなんて…なんか意外でビックリしたかも」
佐「まぁ俺オタクだし、翔太とは正反対だもんね!笑」
「「……」」
私も久美も、その通りすぎて思わず口籠る。
佐「そんでそん時、渡辺くんありがとーって言ったら、「何その呼び方、きも。翔太って呼べよ」って言われたから翔太になった!笑」
そう言って元気に笑う。
さっくんは確かにガチのアニメオタクだけど、根は明るくて優しい男の子。
正直オタクというだけで中学の頃から心無い言葉を投げかけられてる場面を私は何度も見てきた。
その度にさっくんは聞こえないフリをして、明るく笑っていたけど…
…てっきり、渡辺くんもそっち側の人だと思っていた。
…私はまた、自分の偏見を悔やんだ。
そしてさっくんから初めて聞いたそのエピソードに、再び胸が締め付けられるくらい渡辺くんを好きになった。
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R(プロフ) - なおさん» 何度も読んで頂き嬉しいです🥺こちらこそありがとうございます! (8月17日 22時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 初めまして!このしょっぴーと主人公ちゃんが大好きですー💕実は何度も読み返していて😊今日もきゅんきゅんさせて頂きました♥️ありがとうございます!続きもまた読みます💙 (8月17日 16時) (レス) @page50 id: 61924ce533 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みみみさん» 嬉しすぎます!ありがとうございます🥺✨ (2023年4月5日 20時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 素敵すぎです!あー、しょっぴーに惚れてしまった♡ (2023年4月5日 13時) (レス) @page50 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - ピカンチ★さん» この作品を見つけて下さりありがとうございます🥺💙ハニレモ良いですね☺️🍋お時間がある際に良かったら番外編も覗いて下さると嬉しいです🥺💙 (2022年6月25日 19時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:R | 作成日時:2022年5月22日 14時