A miracle of chance （青）short story

出発の前に ページ31

結局明日早いからと言って、翔太くんはお酒をほとんど残してお会計することになった。



翔「ちなみにだけど、名古屋は初めて？」



「うん、初めて！緊張しちゃう」



翔「夜から来る？」



「んー…そうだね。観たらそのまま東京帰ろうかな」



翔「え、泊まらないの？」



「泊まるところなんて、きっと全部埋まっててないと思うよ」



翔「そうか…」



「翔太くんの歌も、ダンスも、太鼓も…全部楽しみだなぁ」



本当に今から楽しみで仕方ない。



翔「腹筋も？笑」



「ふふ、そうだね。笑」



翔「胸筋も？」



「…あ、根に持ってる？」



翔「照ばっか見てないか、俺ちゃんとチェックしてるからね」



「えぇ？太鼓叩きながら？笑」



翔「そう笑」



「ふふふ、笑」



そんな会話をしながら楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。



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「ごちそうさまです」



席で会計を済ませて、2人で一緒に店長さんに会釈する。



「翔太くん、ごちそうさまです」



翔「初めてこの店でご馳走できた笑。…本当にタクシーじゃなくていいの？」



「うん」



タクシー代を出すと言う翔太くんを私は何とか説得した。




翔「毎度のことながら、送って行けなくてごめん」



「そんなこと気にしないで。夜道には慣れてるって言ったでしょ？笑」



翔「慣れて欲しくないのよ」



「大丈夫。着いたら一応連絡します」



翔「一応じゃなくて必ず」



「はい」



翔「ん」




今日からしばらく会えなくなってしまう。



今までも会えない期間が長い日だってあったが、場所まで離れてしまうとなると余計に寂しさが募る。



でも幸せのチケットを手にできたのだから、この日を励みに頑張ろう。

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