出発の前に ページ28
翔太くんの家に行った日から数日が経つが、相変わらず彼は忙しそうで、会えない日が続いていた。
一度だけ、土曜日に会える？と連絡をもらえたが、運の悪いことにその日はたまたま私が仕事の日だった。
来週からは翔太くんは名古屋で約1ヶ月間舞台なので、このままさらに会えない日が続くと思うと非常に寂しい。
もしかしたら今までが良すぎた方で、これからはさらに忙しくなってこんなことが当たり前になっていくのかもしれない。
またチクッと胸が痛む。
会いたいけど、無理言って困らせたくはない。
翔太くんの邪魔にならないよう、寄り添うと決めたから。
また退屈な週末を過ごすことになりそうだな、なんて思いながら仕事帰りの道をトボトボと歩いていた。
すると、カバンの中でスマホが震える。
立ち止まって画面を見ると、翔太くんからの着信だった。
嬉しさのあまり急いで電話に出る。
『はい！』
翔『出るの早！笑』
『…つい』
ちょっと恥ずかしい…。
翔『今どこにいる？』
『仕事終わって家帰ってるとこだよ』
翔『あ、待って、そのまま駅向かえる？それかタクシーでもいいや』
『なんで？』
翔『急なんだけどさ、仕事が早く終わって時間できたからこれから少し会えないかなと思ったんだけど…』
『え…会いたい！』
翔『こちらの都合で申し訳ないんだけどさ、前に一緒に行ったバーでもいい？…今からだと厳しそう？』
『大丈夫！今から駅戻るから40分くらいで着くかも』
翔『良かった。暗いから気をつけてね』
『うん、じゃあまた後でね』
電話を切り、急いで今来た道を再び戻って歩き出した。
嬉しい！思いがけず翔太くんに会える！
私は弾む気持ちで電車に揺られた。
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翔『先店入ってるね』
翔太くんからメッセージが届き、私も急いで店に向かう。
飲食店と同様、付き合うことになってからこのバーに行くのは初めてだ。
店内に入るとすぐ店長さんと目が合った。
店「いらっしゃいませ。お待ち合わせですよね？…また一緒にご来店して頂けて良かったです」
そう言ってにっこり微笑んだ。
「おかげさまで…その節はありがとうございました」
今までの事情を知っている店長さんに深々とお礼をすると
「僕もすごく嬉しいです」
そう言ってもらえて私も嬉しかった。
今日はカウンター席ではなく、奥の角にあるソファー席へと案内される。
そこには後ろ姿でもキュンとしてしまう彼の姿があった。
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R(プロフ) - sakiさん コメントありがとうございます！初めてのコメント、とっても嬉しかったです！少しでもご期待に応えられるよう、楽しみながら緩やかに更新していきたいと思います！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2021年8月1日 15時) (
レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - はじめまして！！翔太くんの話と気になり、一気読みしてしまいました！！翔太くんとヒロインちゃんの関係がとっても大好きで、文章もとっても読みやすいです！名古屋編のホテルでは2人のイチャイチャも見れるのかなと勝手に期待してます！更新頑張ってください！ (2021年7月31日 23時) (レス) id: f85547084c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R
| 作成日時：2021年7月26日 11時
