千年のLove song (ページ5)

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二人離れて過ごした夜はページ5

Side：Yokoo

仕事後、明かりのない部屋に帰り、携帯を確認し、ため息を一つついた。

「今日も連絡なし、か。」

太輔は今、舞台で忙しい。舞台をやっているときに連絡がないことは珍しいことではない。

俺は俺で舞祭組の仕事や、番組絡みのスキューバダイビングの免許取得などで都内を離れていることも多かった。

俺たちは恋人同士ではあるけど、仕事を頑張っているお互いのことを尊重しているから、

『仕事と俺とどっちが大事？』とか、そんな考えは勿論ない。

恋人である前に、同じグループのメンバーなのだから。

ただ、時々疲れて帰ったときに、
太輔の「わた！」が聞きたいと思う。

明日から俺は仕事でサイパンに行くことになっていた。

出掛ける前に恋人の声が聞きたいと思うのは当然かもしれない。

電話しようかと一瞬迷ったけど、やっぱりメールにすることにした。

『明日、ニカと仕事でサイパン行ってくるよ。初ダイビング！無事を祈ってて。渉』

忙しい太輔だから、あっさりとしたメールにしておいた。
返事はすぐには返ってこないだろう。

明日の準備をして、風呂に向かい、すぐに寝ることにした。

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翌朝、早い便でサイパンに向かうため、早めに起きて準備をした。

携帯を見ると、太輔からのメールがきていた。

『わた、行ってらっしゃい！サイパンの海、いいな～。今度、俺とも一緒に行こうね！ダイビング楽しんできてね。帰ったら、連絡してよ。
太輔』

ふふ、と思わず顔が綻ぶ。サイパンは無理でも、太輔の舞台が終わったら、どこか連れていってあげよう。

携帯をポケットにしまい、荷物をまとめて家を出た。

――――――――――――――――――――

サイパンでのダイビングロケも撮影も順調に進んで、サイパンで過ごすのも、あっという間に最終日を迎えていた。

最後の夜、ニカや撮影スタッフと食事会をした。

打ち上げも兼ねていたから、たくさんお酒も飲んで、たくさん食べて、みんなで盛り上がっていた。

そんな中、俺は早めに切り上げて部屋に戻ることにした。

「わったー、もう帰っちゃうの？」

ニカが寂しそうに引き留めてきたけど。

「うん。ちょっと部屋で休んでる」

そう言い残して、みんなのいる店を後にする。

歩きながら、サイパンの、少し湿った生暖かい風で酔いを醒ます。

空を見上げると、透き通った夜空に、綺麗な月が浮かんでいた。

ふと、太輔のことを思い出す。