浜田中文芸部、取材旅行っ!？

金欠なのに、取材旅行って………… ページ3

「文化系の部活動の中から、一番伸びそうな部活に賭けるつもりでね、たった今、決めたよ」

何それ、どういうこと？


「文芸部には、取材旅行を経験してもらいたい」


取材旅行ｯ!？

その言葉を聞いた部員が目に輝きをともした。


「それって、どういうことですかｯ！？」

「それ、いつですか！」

「どこにいくんですかっ！？」

私も聞きたいことはたくさんある。

「でも、」

理事長先生は、申し訳なさそうに頭をかいた。

「さっきも言った通り、全員が旅行に行けるだけのお金、ないんだよなぁ……これが」

そう言って、「ははは」と笑った。


そんなぁ…………。

なら私、いけないかも。
最近入ったばっかの新入部員だし、文才も実績もないもん。

それに、先輩に譲るってのが後輩としての立場。
私たち１年は、来年も部活ができる。取材旅行だって、チャンスがもう一度来るかもしれない。

でも、先輩たちは今年が最後、次がないんだ。

ここはスンナリと身を引くべきだと思う。

「定員、2名ってところかな。」

2名かぁ。

「それでね、その二名を私たちで選んだんだ。勝手でごめんねぇ。」

はぁ！？

いつ！？どこで！？どうやって！？


「文才ってものは、勿論、書けば書くほど身につくものだ。だけどね、元々いいものを持っている人の方が優れているものなんだよ。
努力は、決して、必ず実るものじゃない。」

え？

「例えば、サッカーが大好きで、将来はサッカー選手になりたいと思っている少年はたくさんいるよね？」

あ、それ、若武。

「でも、どんなに頑張ったって、全員が選手になれる訳じゃない。そうだろう？
元々、走るのが早かったり、センスが良かったりする人の方が有利なんだ。
世の中ってもんは、理不尽だからねぇ。」

そっか。

「だから、年齢とか関係ナシに決めたよ。君たちそれぞれの初作品を掘り起こしてみたんだ。
その結果、」


理事長先生の指が悠飛を指した。

「君と……」


そして、その指は横へ動く。









「君に行ってもらいたい」









、









、









その指先は、私の方に向けられていた。

羽田にて、いざ、取材旅行へ！！→←つまり金欠ってことですね、理事長…

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