実は ページ6
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「あ…、総悟」
さっきの話聞こえてたかな…。
「おお、総悟!調子はどうだ?」
近藤さんは明るい調子で、そう聞いた。
見ると、総悟はさっきよりも顔色も良く、薄く笑みを浮かべ
「ええ、すっかりよくなりやした」
と答えた。
声色から、元気になったのがうかがえて少しホッとした。
「総悟、ご飯食べる?」
「ん……、食べやす」
ちょっと待っててと、私は部屋を後にした。
*
部屋からAちゃんがいなくなるのを見計らってか、総悟がおもむろに口を開いた。
「……近藤さん」
「ん?」
聞かれる言葉はなんとなく分かっていた。
「……あの話、したんですか」
あいつに、と付け加えて総悟は言った。
思わずばつが悪い表情になった俺に対し、総悟は遠い目をして
「そんな話も出来るくらいに…、あいつはここに馴染んだってことっすかね」
そう言った。
「そうだなァ…」
…確かにそうだ。
きっかけは少し違っていたが、もうAちゃんがここにいて、笑ってることが当たり前になりつつあるのだろう。
「まあ、それもいつまで何ですかねィ」
総悟がそう言う。小さな呟きだったかもしれないが、二人しかいないこの空間でのその言葉は、やけに重く感じた。
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桜葉(プロフ) - 土方美零さん» はーいっ!!楽しみに待ってます!! (2019年5月12日 3時) (レス) id: 4abc1515c0 (このIDを非表示/違反報告)
土方美零(プロフ) - 桜葉さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。続きも楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年5月4日 22時) (レス) id: 4eef42f134 (このIDを非表示/違反報告)
桜葉(プロフ) - 続きが楽しみです!!更新待ってます!ペコリ((・ω・)_ _)) (2019年4月20日 13時) (レス) id: 4abc1515c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:土方美零 | 作成日時:2018年12月31日 10時