3話 ページ8
「そろそろ時間だなぁ。」
Aはそう言って、鞄を肩にかけ、玄関のドアノブに手をかけた。
そして、ふと気がついた。
__外が異様に騒がしい。
この時間帯は通勤通学の時間であるため、ある程度騒がしくてもそれが普通なのだが、今日はいつもより騒がしい。
何より、人の声が騒がしい。
玄関を開けて確認してみようと思い、ドアを少し押した瞬間、
__パァン
という音が聞こえた。
Aは急いでドアを引いた。
そして恐怖に怯えた。
間違いない、あれは銃声だと。
それは、頭の悪い彼女でもわかるほどのものだった。
逃げなくては。
そんな言葉が彼女の頭を埋めつくしたと思うと、方法を考える前にすでに体が動いていた。
すぐに裏口から抜け、物陰に隠れながら銃声と反対側に走っていった。
__しかし
そんなに簡単に事は運ばず、銃を持った男が視界に入るのを見た。
それだけならいい。
だが、その男の目は完全にAをとらえていた。
いくら運動神経が良くても、流石に銃は避けられない。
そう思い、Aは入り組んだ小道に逃げ込んだ。
銃は避けられないけれど、発砲する前に物陰に隠れてしまえば弾は当たらない。
そう考えて小道を必死に走った。
その時。
「こっち。」
その声が聞こえた瞬間、腕を掴まれた。
突然のことに反応しきれず、少しふらつきながらも体制を整えた。
そして、声の主に目をやると、
「先輩?」
それは、Aの部活の先輩であった。
「ついてきて。」
彼女はそれだけ言うと、スタスタとAの前を歩き始めた。
それにAは慌ててついていく。
「あの、先輩。どこに行くんですか?」
自分の命が危ない今、彼女は自分をどこに連れていくのか、不安で仕方がなかった。
「私の家の地下。」
彼女がそう言うと、目的地に着いたのか、ぴたりと足を止めた。
「ここの階段を降りてしばらく進めばすぐに着く。それに地下は、厳重に設備されているからあいつらが入ってくる心配もない。だからとりあえず、ここに隠れるよ。」
そういった彼女は再びAの手を取り足を進める。
そこは薄暗く、少し気味の悪い、なんてことはなく、普通の家の廊下のようだった。ただ、普通の家と違うところは、窓がないところくらいだろう。
銃声も聞こえなくなり、先輩とも合流できたAは、気が楽になったのか、先程までの恐怖は消えていた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:崖まき | 作成日時:2018年2月13日 1時