19 ページ20
ㅤ
『貴方は……？あ、いえ、俺はA･バイロニアと申します。』
見覚えのない相手に思わず口から出てしまったが、自分から名乗らなければ失礼だと慌てて名乗り直す。すると彼は、少し面食らったように目を見開くもすぐにクスリと笑いながら口を開いた。
「いきなりすまない。困っていたように見えたからつい、な。俺はトレイ･クローバー」
ハーツラビュル寮の副寮長をしている、と付け足した彼は確かにローズハートさんと同じ色のマジカルペンを胸ポケットに差していた。
「それで、どうしたんだ？」
『実は、
「ああ、月光草も必要だったな。これは＿＿」
葉先に触れたまま、根元まで撫でるように指を離さず滑らせて採取するんだ
そう説明しながら実際にやって見せてくれたクローバーさん。
彼の右手には、地面に生えていた状態のまま枯れる様子を見せない月光草が一層輝いていて、とても幻想的だった。
クローバーさんに習った通り、葉先にちょこんと触れてそのまま根元まで指を滑らせる。そして優しく地面から抜き取れば、綺麗なままの月光草を採取することが出来た。
『＿＿取れた！クローバーさん、有難うございます』
「どういたしまして」
無事に採取する事ができ、見守っていてくれたクローバーさんにお礼を言う。
すると彼はやけに生温かい目で微笑むので、今更ながら少しはしゃいでしまった事に恥ずかしくなった。
残りの材料を採取する時もクローバーさんからアドバイスをもらい、元々採取する材料が少ないこともあってかあっという間に必要な材料を取り終わった。
しかしレオナ様はまだ戻ってきていないようなので、入口で待つという趣旨をクローバーさんに伝え足を止めれば、何故かクローバーさんも一緒に止まる。
忘れ物でもしたのだろうかと思い首を傾げると、俺が疑問に思っていることに気付いたのか何処か悪戯に笑いながら口を開いた。
「一人で待つのもつまらないだろうし、どうせなら親睦を深めようと思ってな」
錬金術は得意だから時間はある、と付け足して隣に並ぶクローバーさん。
嬉しいことに限りないのだが、何故唐突にも仲良くなろうと思ったのかが分からず困惑してしまう。
面白い事は何も言えないと告げるが、俺の事を知りたいだけだと返ってきて思わず後退ってしまった。
そういうのは女性に言うべきではなかろうか。
ㅤ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1955人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽいんせちあ(プロフ) - すぅぅぅぅ…だぁぁぁいぃぃすぅぅきぃぃでぇぇぇぇす！！！応援してます！！ (2022年7月14日 22時) (
レス) @page28 id: 29021d68a0 (このIDを非表示/違反報告)
洸 - あっこれ楽しいやつだ…更新楽しみに待ってます… (2022年4月17日 9時) (レス) @page28 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
..... - とっても好きです！！更新頑張ってください！応援しています！！！ (2022年1月17日 16時) (レス) id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
滅夜(プロフ) - このお話最高です！更新頑張ってください！ (2021年3月30日 12時) (レス) id: f73ab42924 (このIDを非表示/違反報告)
馬と鹿 - 読みやすく何処か引き込まれる文章に感心します…。謙虚な作者の姿勢に、また尊敬の意を表したい！！ 応援しております！！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 9266b0967c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：濁瀬 | 作成日時：2020年7月13日 0時
