10 ページ10
『……なんですか』
背中越しに聞こえる、明らかにトーンの低い声。
男性特有のその低い声が、私の身体の芯から重く大きな波紋を描いた。
勿論後ろを振り向ける筈もなく。
相葉「Aちゃんはさ、なんで俺たち嵐のマネージャーになろうとしたの？」
思わず足が止まる。
中々鋭い。
私は少し戸惑うフリをした。
『……流されたんです。私だってやりたくてなった訳じゃないですし』
相葉「だろうね」
乾いた笑いが私の耳をくすぐる。
最初はちょっと心地良いと思っていたが、すぐに耳に虫が蠢いているように感じた。
『早く行きましょう』
相葉「…うん。ほら、翔ちゃん起きてー……起きろ！！」
さすがにウザったらしく感じたのだろう。
チラリと後ろを見ると、相葉さんが櫻井さんのみぞおちに蹴りを決めていた。
櫻井「ゔっ。ってえな相葉ァ……あー、もう24時間テレビ出れねえ…」
相葉「寝ぼけんのもいい加減にして」
渋々櫻井さんは眠気がたっぷり詰まった身体で坂を登り始める。
……なんだコイツ、マジでめんどくせえな。
私はドスの効いた目で櫻井さんを睨み、集合場所を目指した。
・
・
カメラマン「櫻井さんもう少し右でお願いしまーす」
スタッフ「次、次！早く！」
雑誌編集者「メイクさん何処よ！急がないと間に合わないってば！」
『………何コレ』
え、え？
凄く慌ただしい…。
まあ、朝焼けだもんね…。
でも、なんか意外。もっとこう、撮影する時って静かなのかと思ってた。
スタッフ「貴方がマネージャーさん？」
『ッ！！』
肩をトントンと叩かれ、身体に電流が流れたかのように急速に再起動する私の頭。
3秒後、私は落ち着きを取り戻した。
この声のトーンは……女の人だ。
『はい、そうです』
心が分かりやすいくらい安心しているのが分かる。
振り向くと、明らかに私よりも年上の女の人が柔らかい笑顔を向けて立っていた。
スタッフ「嵐のマネージャー、辞めたくなったら辞めな？…ここだけの話、私の妹嵐のマネージャーやってたけどすぐ辞めたの。あのね…無理しないでね？」
『はいッ、ありがとうございます！』
なんて優しい人なんだろう。
でもごめんなさい。
最低1年はいないといけないんです。
ごめんなさい、名も知らない優しいお姉さん…！
カメラマン「その表情いいね！」
……表情？
私は二人を見た。
その表情は、今までにないくらいの作り笑顔だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆめ - すごく面白い作品！！3年も経っているのに突然すいません、、、もしかしたらもうここ自体を辞めてしまっているかもしれませんが、更新楽しみにしています！！ (2020年12月2日 16時) (
レス) id: 49abb5db6b (このIDを非表示/違反報告)
櫻まり - この作品、とても面白いです！更新待っているので自分のペースで無理せずに頑張ってください♪ (2017年12月14日 2時) (レス) id: 372a2ea08d (このIDを非表示/違反報告)
ﾏｰﾒｲﾄﾞ - 何回も読みたくなるほど、素晴らしい作品で私のお気に入りです♪リクで主人公ちゃんの男性恐怖症が治り嵐と仲良くして行くのが見たいです!!更新楽しみに待ってます!!だんだん寒くなってきたので、身体に気をつけて頑張ってください(^^)応援しています(^o^)/ (2017年10月17日 0時) (携帯から) (レス) id: fa8cf9b19a (このIDを非表示/違反報告)
Chiba(プロフ) - みぃこさん» コメントありがとうございます！こちらも誤字脱字が無いかハラハラしながら書かせてもらっています！これからもみぃこさん初め、たくさんの読者様にハラハラしてもらいます(ゲス) (2017年9月10日 12時) (レス) id: d6c2fd72ef (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんばんは☆ドキドキしながら読ませてもらってます(^-^)これからの更新も楽しみにしてます(*^^*) (2017年9月9日 20時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiba | 作成日時：2017年7月23日 14時
