21 ページ21
大野さんは私のスマホを雑に拾い上げると、通話ボタンを迷わず押した。
『えッ…！！」
私が言い返そうとすると、大野さんは余裕の笑みで耳元にスマホを近づけた。
「言い返せないくせに」と、目がそう語っていた。
……………悔しくてたまらない。
でも、それでも言い返せないから。
もっともっともっと悔しい。
大野「はーい、もしもし？」
スタッフ「えッ、あ、あれ、大野さん？…じ、時間間に合ってませんよ！困ります、次からは本当に気をつけて下さいね！」
大野「あー、ごめん。これマネージャーのせいなんだわ」
……は？
今、何を言った？
“マネージャーのせい”？
一瞬でも「助けてくれるかも知れない」と思った自分が憎たらしい。
コイツは最初から私を蹴落とす為にッ…！
『お、おのさんッ……どッ、して……』
殴られることを覚悟しながらも、これからの自分の為に、今の自分に打ち勝つ為に。
あえて言葉を発して見た。
殴りたければ殴ればいい、もう慣れっこだ。
そう思っているはずなのに。
本当はどうしようもなく怖くて、両手と脚が震えた。
もっと痛いことをされるかもしれない。
……そう考えたら、もっと…………怖くなった…。
大野「は？今更お前言い訳すんの？言えよ、私が遅刻したせいですってさァ」
『ッ！！』
一瞬にして、息が出来なくなった。
首を片手で絞められている事に気付いたのは、そう遅くはなかった。
頭に血がのぼる。苦しい、苦しい。
大野さんの目は、本気半分、遊び半分だった。
大野「じゃ、切るね」
スタッフ「え、あの、ちょっ」
スタッフの言葉も遮り一方的に切る通話。
それでも大野さんは手を離してはくれなかった。
そろそろ、本気でヤバイ。
酸素が足りない。
大野「あはッ。あはは、あッはははは！オラ、苦しいか！？俺らもお前らのせいで仕事に集中出来ねえ、スタッフに嫌われる、世間様からの評判も下がる一方！！」
『ッ……ッ…！！』
大野「苦しいよな！？俺たちも苦しいんだよ！！お前に変えることができんのか！？今更、俺たちを！！変え_が＿んのか＿＿！？」
いよいよ、大野さんの言っている言葉も、意味さえも理解できなくなっていった。
…死ぬんだ、私。
男が、大嫌いなまま。
せめて、直してから死にたかったな。
男性恐怖症＿＿＿＿＿。
？「オイッ！！」
身体が何かの反動で宙に舞い、地面に叩きつけられる。
肺に酸素が一気に入ってきた為、むせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆめ - すごく面白い作品！！3年も経っているのに突然すいません、、、もしかしたらもうここ自体を辞めてしまっているかもしれませんが、更新楽しみにしています！！ (2020年12月2日 16時) (
レス) id: 49abb5db6b (このIDを非表示/違反報告)
櫻まり - この作品、とても面白いです！更新待っているので自分のペースで無理せずに頑張ってください♪ (2017年12月14日 2時) (レス) id: 372a2ea08d (このIDを非表示/違反報告)
ﾏｰﾒｲﾄﾞ - 何回も読みたくなるほど、素晴らしい作品で私のお気に入りです♪リクで主人公ちゃんの男性恐怖症が治り嵐と仲良くして行くのが見たいです!!更新楽しみに待ってます!!だんだん寒くなってきたので、身体に気をつけて頑張ってください(^^)応援しています(^o^)/ (2017年10月17日 0時) (携帯から) (レス) id: fa8cf9b19a (このIDを非表示/違反報告)
Chiba(プロフ) - みぃこさん» コメントありがとうございます！こちらも誤字脱字が無いかハラハラしながら書かせてもらっています！これからもみぃこさん初め、たくさんの読者様にハラハラしてもらいます(ゲス) (2017年9月10日 12時) (レス) id: d6c2fd72ef (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんばんは☆ドキドキしながら読ませてもらってます(^-^)これからの更新も楽しみにしてます(*^^*) (2017年9月9日 20時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiba | 作成日時：2017年7月23日 14時
