拾肆 ページ15
「「姫〜誕生日おめでとう！！」」
『ありがとう。ヒカ、ヒナ』
詰所にたくさんの人達がやって来て、祝いの言葉と贈り物をくれる
『皆さん、本当にありがとうございます』
「いやぁ、姫ちゃんも18か！別嬪さんに磨きがかかったな！」
「紅ちゃんはどこいった？早く祝言挙げんか！」
『あはは……』
紅は朝起きて私におめでとうと一言言い、どこかへ行ってしまった
もう少しで夕方だけれどまだ帰ってこない
『どこいったのかなぁ』
夕方になり皆が詰所に集い宴会を始める
「お嬢！これうちの飯だ！食え食え！」
『あの、もうお腹いっぱいです…』
元から少食だった為、皆さんから渡されるご飯を食べているともう限界だった
『私、もう戻りますね』
お酒もまだ飲まない私は詰所から出ていく
卯月になったとはいえ夜は肌寒い
羽織を着て夜の浅草を歩く
隅田川の川沿いに、ずっと歩いていった先
沢山の桜に囲まれている私の思い出の場所
ここは何故か余り知られていない場所
『お父さん、お母さん。私、18になったよ』
ここに両親は居ない
居るのは私の生家だ
けれど、帰ることはまだ出来ない。だから私はここで毎年両親に報告をするのだ
『お母さんから貰った簪、ずっと使ってたからもう新しいのに変えなきゃいけないの』
髪の毛を纏めていた簪を引き抜き、空に翳す
ふわりとおちた髪の毛が風に乗り揺れる
『私、お母さんの髪の毛が好きでずっとこの長さなんだよ』
腰まである髪を、皆は綺麗と褒めてくれる
それが、とっても嬉しい
『お父さんが教えてくれた料理も、紅たちは美味しいって言ってくれるんだよ』
身体が弱く寝込んでいたお母さんに変わり、お父さんが料理を作っていた
沢山の思い出を語る
もう帰ろうと思った時、纏に乗った紅が空からやってきた
「…こんなとこに居たのか」
『紅』
「……簪は？」
『今少し外したの』
「…結ってやる。貸せ」
手を差し出して来るので握っていた簪を渡し、後ろを向く
『ここ、綺麗でしょ？』
ここはいつも遅い時期に満開になる
「ああ」
『母が亡くなる前、最期に家族3人で訪れたのがここだったの』
ここは私たち家族以外は知らないからって
『どうして紅はここを見つけられたの？』
「…さぁな、勘だ」
出来たぞと言うので紅に向き直ると、簪を渡される
『これ…』
この簪は母から貰った簪だ。なら、今私が付けている簪は…
紅が言いたい事が分かり涙が溜まる
「桜。来週、式挙げんぞ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪野(プロフ) - いえいえ、よかったです(^-^) (2020年11月29日 15時) (
レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
霊来(プロフ) - 雪野さん» ごめんなさい公開するの完璧忘れてました……今公開しました。すみません… (2020年11月29日 13時) (レス) id: a7f52eeadc (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - ページ項目の10の次が12なんですが、11はどこにいったんでしょう...? (2020年11月29日 8時) (レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 霊来さん初めまして、続きが楽しみにしてます。応援してます。 (2020年11月3日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霊来 | 作成日時：2020年10月24日 1時
