16話 ページ17
−昴side−
『えぇ、、帰ってった』
武道｢あ、あの！｣
『ん？どうした武道』
武道｢本当に昴くんスか？｣
『そうだよ？え、分かんない？』
武道｢いや、目を見たら分かるんですけど。金髪だし喧嘩強いし中学生だったんだって驚きが、、、｣
『金髪は地毛だよ、母親が外国人なんだ。喧嘩強い、、のかは知らないけど男なら皆喧嘩するからそれと同じ。それと今俺は中学2年生だから武道とタメだね』
武道｢え！？同い年！？｣
『んーん。俺ダブってんの』
武道｢え、えぇ？中学でダブり？｣
『ちょっとした事情があってね。あ、番号交換しよ。連絡手段はあった方が良い』
武道｢あ、はい！｣
予想外。武道と佐野万次郎が接触出来れば良かったのに俺までダチになるとは。
ヒナを救うのに協力はするけど基本は武道に任せる。俺は俺で晃を救わないといけないから。
抗争の場に行かなきゃいいだけなんだけど。どうなるか分からないから原因になりそうなものは早めに見つけて回避した方が良い。
何より、あの時の記憶が断片的にしか残ってない。
もっと詳しく覚えていたら何か対策ができたのかもしれないのに。
抗争があった場所の近くを晃と二人で歩いてて、巻き込まれて俺も晃もボロボロになった。
銃声が聞こえて晃が倒れて、頭から血が流れてて、冷たくなってく感覚。
今でも鮮明にその場面だけを覚えてる。
文字通りの地獄、絶望。
晃が動かなくなった瞬間俺は生きる意味を失った。
こんな所来なければ
抗争なんかやってなければ
不良なんていなければ
銃なんてものが存在しなければ
撃たれたのが俺だったら
何度もそう思った。
何度も夢に見た。その度に現実を突きつけられて、夢を見ないように願った。
もう目覚めなくて良いのにと思いながら眠ってた。
武道｢昴くん！！｣
『ぅわ、、ビックリした。どうした武道』
武道｢いくら呼んでも返事こなかったんで、、すいません、、、｣
『俺が悪い、ごめん。無視してた訳じゃないんだけど』
武道｢大丈夫ッスよ！｣
『武道は良い奴だな。それにカッコイイ』
武道｢と、突然なんスか！？、、、、ちなみにどの辺が？？｣
『武道は泣いてる時が一番カッコイイよ』
武道｢それ褒めてます？？｣
『褒めてるよ』
武道｢昴くんみたいなカッコイイ人に言われたら自信つきます！ちょっと複雑ッスけど！｣
思わず目を伏せたくなる程、武道は俺にとって眩しい
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年1月7日 16時
