第三話 ページ4
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登校中、改めて新聞に映る俺の顔を観ると、相変わらず"工藤新一"にそっくりだなと思う。
まぁ本人より少し幼い気がするけど、髪を切ったら本人にそっくり────
貴方「あだッ……!」
突然、後ろから何かをぶつけられた衝撃がきた。
……まぁ、だいたい予想はつくけど……
蘭「なによ、ニヤニヤしちゃって」
貴方「あのなー、俺がいつニヤニヤしたってんだよ。
おめェこそなぁにピリピリしてんだ〜?」
蘭「べっつにー?
Aが活躍してるせいで、私のお父さんの仕事が減ってるからって、怒ってなんかいませんよーだ」
べーっ、と可愛らしく舌を出す蘭に、俺はシナリオ通りに「蘭の父さん、まだ探偵やってたのか?」と揶揄う。
すると蘭は急に高笑いをした後、俺の隣にある電柱目掛けて拳を突き出した。
蘭「だぁから〜、怒ってないって言ってるでしょー?ホホホッ」
貴方「は、ははは……さすが空手部女主将……」
目の前にある蘭の拳の先には、ひびが入った電柱。
これは怖い。物凄く怖い。例え俺に拳が来ないと分かっていても怖い。
その場にいた俺は、咄嗟に苦笑しか出来なかった。
「あっ、ボールが!」
「お兄ちゃん取ってー!!」
貴方「ん?」
自分の足下にきたサッカーボールを、軽くリフティングした後に子供に向かって軽く蹴る。
すると子供達はキラキラした目で「ありがとー!」とお礼を言って去っていった。
蘭「Aはサッカー部辞めなかったら、今頃は国立のヒーローだったのに……」
まるで勿体ない、とでも言うかのような顔でそう言う蘭。
貴方「サッカーは探偵に必要な運動神経をつける為にやってたもんだからなぁ。
ほら、あのホームズみたいに」
蘭「でもあれは小説でしょー?」
貴方「でも皆が知ってる探偵だぜ?
俺はそれになってみてぇんだよ、平成のホームズにな」
軽く本音を出すと、蘭は呆れた顔で「だから推理オタクになるのねー」と言っていた。
貴方「ふっ……けど、その推理オタクが好きな女性もいるんだぜ?」
ほらこんなに…と、貰っていたファンレターをポッケから出し蘭に見せびらかすと、蘭はジト目でそのファンレターを見る。
そしてすぐにそっぽを向いて「デレデレしちゃって……」と言った後、深くため息を零した。
蘭「いい気になって事件に首突っ込んでると、いつか危ない目にあうわよ?」
貴方「……かもな」
蘭のその言葉に、俺は作り笑いをするのが精一杯だった。
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ユキ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます⊂('ω'⊂ )))Σ≡ (2020年6月12日 19時) (レス) id: 26cdda3c8d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2020年6月12日 18時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ | 作成日時:2020年6月11日 19時