難攻不落の向井くん

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赤Side


A組に転校して来た康二は持ち前の明るさもあって
すぐにクラスに馴染んだ。

馴染み過ぎて昔から一緒にいたかのようにも感じる。


「え、次の授業辞書必要なん？俺まだ届いてないねんけど…」

「まじ？」

「うわ…どうしよ。ちょっと隣のクラス行って借りてくる！」

「え、康二大丈夫？声掛けれる？」

「…あかんかも」


さっきの自己紹介で人見知りだから
自分からは話し掛けれないって言ってたよな？
と思って聞いてみたら案の定だった。


「じゃあ一緒に行こっか。B組に幼馴染いるし」

「でも舘さん先生に呼ばれてたやろ？」

「んーそっか。ねぇ、照とラウールは？」

「俺も次の授業で使うプリント取りに来いって呼ばれてる」

「俺も先生から呼び出し。どうせめめのことだよ…。一緒に行きたかったけど、ごめんね康二くん…」


どうにか康二に誰かを付き添わせてやりたかったけど、
どうやら無理らしい。

すっかり康二に懐いたらしいラウールは
本当に一緒に行きたかったらしくてシュンとしている。

それより…


「また目黒何かやらかしたの…？」

「んー？大学生とホテルの前で揉めたらしいよ。ほんと懲りないよね、あの人たち。」

「あいつモデルの自覚あんの…？」

「知らないよ…。もういい迷惑なんだけど！同じ事務所なんだからお前も見張っとけって意味分かんない！」

「？」


照と話しながらぷりぷり怒りだしたラウールを
不思議そうに見つめる康二。

あ、置いてきぼりにしちゃったかな…？


「事務所？」

「そう、こいつ超人気モデルなの」

「ほんまっ？」

「いや、人気かどうかは…///」


照の言葉にキラキラと目を輝かせながら
ラウールを見る康二と照れるラウールが、
なんだかまるっと可愛いなと思った。


「凄いやん！確かにラウールめっちゃスタイルえぇしイケメンやもんね！」

「えへ///そうかなぁ？」


康二の素直なリアクションに
これまた素直に喜ぶラウール。

可愛いけど、時間が無いって分かってる？


「早く辞書借りて来ないと授業間に合わなくない？」


そう思って康二に言うと
分かりやすく焦って教室から出て行った。

それに続いて俺と照とラウールも。



ラウールが目黒関係で呼ばれたってことは俺は翔太か…



何度目か分からない呼び出しに
俺はそっと頭を抱えた。





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