性別の壁なんてぶっ壊せ

タイミング良し ページ24

.





目の前を降り頻る雨を見ながら、突っ立っていた



おい天気予報。今朝の予報士の爽やか系お兄さんは、「全国的に晴れ」って言ってたぞ


折りたたみ傘を常備しているほどの女子力なんてあったもんじゃない



残された手は一つ。走ることだ



雨の中をパタパタと駆けていく。私は速力には自信がある方だ。途中で所々泥はねをするが気にしちゃいられない


『ちくせう、女子力上げねば』

太宰幹部に振り向いてもらうためにも、"男子だけど女子力高い系"にならねば。中也さんだって女子力が高そうだ



なんて思い乍走っているとウィッグから水か滴るほど体が濡れていた


真夏と言えど寒い。それに少し疲れてきた



コンビニで傘を買うという手もあるが、金がない。この前の買い物のせいである



あの時の太宰幹部は今思い出すだけでもかっこよかった


そう言えば、太宰幹部にも結局会えなかった



『あー、太宰幹部ぅー』

「呼んだ？」

『ふぁっ！？』

「うふふ、面白い声だね」


曲がり角から突如、ぬんと伸びた手は私の肩を掴んで引き寄せた


大きくて、温かい手はこの前握った手と同じで、寒い雨の中ひどく安心できた





.

お家デート→←え、うそん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す