気になる彼女は用心棒 (ページ8)

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「やめるなら今の内だぜ？」

『あの岡田以蔵直々に喧嘩を売られたからにゃ
いい値で買わないと！』

不意にAのピアスが光る。
両手にはトンファーが装備され耳から2つ
ピアスが消えていた。

「なんじゃおんしも魔術使いか。」

『端くれだけどこんくらいはね。』

睨み合いが続く。
この時間が永遠に続くかと思われたその時、

ガキィン！！

激しい金属同士の衝突する音。
一定の距離を保って後退するとまた衝突した。

「うわお。」

《隼》と称された以蔵の剣についていっている。
見ている新シンの心も踊る。

『さっすが！一撃一撃が重い！やべぇ！』

「ほたえな！さっさと反撃してこんか。
防戦一方…やちない。おまんはその程度か！」

以蔵が吠える。

いや、只の人間にしては凄いと思うよ。

新シンはカメラで2人を追う。

こいつは思ったより…。

『あ。』

間一髪、避けた切っ先が頬をかする。
はらりと枯葉が落ちるようにマスクが床へ。

ドンッ！

『いったァ。』

「その剣…覚えたぞ。こりゃあワシの
勝ちかのぉ？」

勝ち誇ったように以蔵が嘲笑う。
壁に打ちつけられたAは呟いた。

『そっか。相手の動きをコピー出来るんだ。』

「あ？」

膝に手をつき立ち上がる。
露わになった素顔をカメラ一面に映す。

「何を笑っちゅう。」

そう、その目はキラキラと楽しそうに。
ヒーローを前にした子供のような表情だった。

『岡田以蔵さん！私を殺しはしないよね！？』

「しわい！」

『ごめん！』

トンファーを構えなおす。壁に片足をつけると
力一杯、壁を蹴った。

「跳んだ。」

新シンが呟く。空中で回転を加え以蔵目掛けて
落下した。

ガキィン！

「ちぃっ！！」

華麗な回し蹴りを横っ腹に喰らった以蔵。
踏ん張るともう一本の刀に手をかけた。
Aは片足で踏んづけソレを阻止する。

「ちゃがまったか。」

片方の手に力を入れる。ギチギチと嫌な音。

「がっ！？」

Aが頭突きをした。よほど痛かったのか
よろめきつつ後退する。

『…私、岡田以蔵さんの事信じます。』

たらり。Aの額から垂れる赤をカメラは
見逃しはしなかった。

『信じてデタラメでいく。だからいい加減、』

Aが駆ける。慌てて以蔵も構える。
床に赤を撒き散らしながら跳んだ。

『私を認めろやああああ！！！！！』

「なんじゃあ！？？」