裏切りの刀

恋愛漫画かよ ページ7

「今日は内番をしてもらいます。」

備前「内番？」

審神者に呼ばれた備前は行儀よく正座をして
聞いている。

「そう。馬当番に畑当番、手合わせがあるん
だけど今日は畑当番をやってもらいます。」

備前「分かった！」

「待て待て！内番は二人一組でやるの。」

行こうとする備前の腕を掴み止まらせる。

「で、備前の相手は…」

厚「俺だ。」

襖を開け厚がかわりに答えた。
備前はぱちくりと大きな目を瞬かせると
審神者の方を振り返った。

「その子は厚藤四郎だよ。」

備前「宜しく！厚。」

厚「こちらこそ。宜しくな備前。」

(これなら大丈夫そうね。)

畑へと向かう二人の後ろ姿をみて安堵する。

(昨日は迂闊だった。まさか不動があんな行動
をとるだなんて…。私の勉強不足だ。)

審神者が項垂れながら自室に戻るのを端から
長谷部が見ていた。


備前「んよっしょぉい！！」

スポン!という効果音付きで備前は尻もちを
ついた。

厚「大丈夫か！？」

備前「うん！大根は無事だよ！」

そう言って大根を掲げる。
厚はため息をついて備前を立ち上がらせた。

厚「大根じゃなくてあんたの事だよ。
ほら、顔についてる。」

備前「うみゅう。」

タオルで頬についた泥を拭ってもらう。
大人しく拭かれている備前をみて
厚の口が緩んだ。

備前「厚？」

厚「いや、俺よりデカいのにこうしてると
秋田達とかわんねぇなぁって思って。」

突然何かを思い出したようにハッとなると
厚は手を合わせて謝った。

厚「すまねぇ!女性にデカいだなんて
失礼だったな。」

備前「いんやぁ？そんな事よりほっぺた
ありがとね。」

手袋を外して厚の頭を優しく撫でる。
キョトンとしていたが次第に厚の顔が
赤く染まった。

厚「…備前はずりぃな。」

備前「え？」

厚「大根美味そうだな。」

備前「うん！」

太陽に負けない笑顔を浮かべる備前に
厚は目的を思い出した。


(厚。)

(薬研？どうしたんだ？)

(今日 備前近景と内番一緒だろ？
ちょっち俺の頼みを聞いてくれねぇか?)

(いいけど…なんだよ。)

(……備前近景にそれとなく不動の事を
聞いてくれねぇか。それとなくでいいから。)

(そんぐらいなら大丈夫だけど…。)

(頼んだぜ。厚。)

あの時なんで薬研がそんな事を頼んできたのか
分からなかったが薬研の辛そうな顔に
理由を聞くことが出来なかった。

厚「なぁ備前、」

厚「不動の事どう思ってる?」

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