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「握手会ですか！？」
あの気まずい空気で陽にぃの家に着いた。
畳の上で膝を正して用件を聞いていたのだが思わず身を乗り出した。
急いで腰を下ろす。
「でもどうして急に？テレビで見かけたりしません？」
「そうなんだけどねぇ…仕事してる陽を近くで見たくって…」
「申し訳ないですけどさすがの俺でもチケットを取ったりは難しいかと…」
それにその握手会は週末。
人気アイドルのプロセラの握手会と聞いて飛びつくファンが何万人いることか…
まぁ私はどれほど人気なのかは詳しくは知らないけど…陽にぃママのためにもっとテレビを見て情報を仕入れるべきだった…！
だけれども今となっては難しい。
握手会のメインとなるアイドルの夜さんでもチケットが取れなければ私たちには無理だろう。
買うことは容易いけれど期限が、ね。
「夜君、陽は仕事しっかりしてる？迷惑かけてない？」
「心配しなくても大丈夫ですよ。むしろ俺たちの上の人が問題だって陽はぼやきながら面倒見てますし…」
陽にぃの上？
２人いるそうだけれど問題なの？
その下の陽にぃと夜さんは大変そう。
「どうしたの？」
じっと見ていたせいか夜さんは私の視線に気づき、問いかける。
「大変そうだな、って」
「好きでやってるからそうでもないよ」
それでも夜さん、苦笑いですよ。
「それにしてもママさん、どうして陽にぃも呼ぼうとしてたんですか？」
「最終手段、目の前で先輩や共演者さんに電話してもらうとかして仕事に対する気持ちと態度を…」
「さすがお寺に嫁いだ人だけあって礼儀は気にしますよね」
「でも陽ならすごく嫌がりそうですけどね…」
言われてみればそうだろうなぁ…。
陽にぃの嫌がる顔が目に浮かび微笑む。
夜さんも笑っていた。
そんな中、誰かの携帯の着信が室内に響いた。
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作者名：塩キャラメル（□‐□）なのだよ | 作成日時：2016年9月1日 22時
