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隼さんが部屋から出ていった瞬間全身の力が抜けて座り込んだ。
さらに溢れる涙も止まらない。
「よ、夜さ…っ、ありがと、ございます…」
「…はぁぁあ…良かった。Aちゃん…本当に良かった」
夜さんも座り込んだと思ったら手を引かれ、抱き寄せられた。
夜さんの温もりが伝わってくる。
「一旦、俺の部屋に行こうか。みんな来るから、ね?」
黙って頷いて夜さんの後ろをついて行く。
この後隼さんと顔を合わせるの気まずい…。どうしよう。
「さ、どうぞ、入って?」
「失礼します…」
夜さんの部屋は落ち着く色合いで今の状況を整理するには十分すぎる空間だった。
「とりあえずAちゃんは何もされてない?すごく怯えてたけど…」
「大丈夫です…ただ怖くて…」
確かに隼さんから迫られたら僅かながらには怖気付くよね、と納得した夜さん。
「俺も隼さんが怖いや」
「だってAちゃんのこと取られそうになったんだもん…先越されて悔しいな」
そうだ、私ちゃんと言ってない。
好きだって伝えなくちゃ…私から行動しないと駄目なんだ。
「夜さん、私…」
ぎゅっと目を瞑って勇気を出して好きと言おうとした瞬間、さっきも感じた温もりに包まれた。
「待って…俺に頑張らせてくれるかな?」
それって…
少しだけ離れて目を合わせて夜さんは口を開いた。
「日波Aちゃん、君に初めて公園で会ったときから惹かれていました。俺でよければ付き合ってください。」
私だけが想ってたんじゃないんだ。
夜さんも同じ気持ちだったんだ…。
するとまた涙が溢れてきた。
「私もっ、夜さんが好きです!ずっと…ずっと好きでした…っ!」
「ありがとう…ありがとう…!泣かないで笑って?」
頬の涙を拭い私は今出来る精一杯の笑顔を夜さんに向けた。
「やっぱり可愛い。もう泣かせたりしないから、俺の隣でずっと笑ってて?」
「それ、プロポーズみたいじゃないですか!」
からかうようにそう言うと私の左手を取ってキスをした。薬指の付け根のあたりに。
「予約しておかないとね」
「…っ私は夜さん以外は全力で拒否します!」
「あははっ、ありがと!」
さっきのことが無かったように私たちは笑いあっていた。
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作者名:塩キャラメル(□‐□)なのだよ | 作成日時:2016年9月1日 22時