【HQ】可愛すぎ 〜その顔、他の男に見せんなよ〜

矢巾 秀 ページ6

｢お姉さん、このあと暇ですか？僕と遊びましょうよ｣

｢あー、すいません。このアホ無視してくれて結構です｣


今日は合宿で使う足りないものの買出しに来てるってのに矢巾はさっそくナンパに走りやがった。
後ろから頭を叩き、その場から引きずってきた。
ああ、重い重い。


｢お前、実はゴリラだったりする？｣

｢もう１発ぶん殴られたいか、そうかそうか｣

｢何でもないです！さぁ、早く買って早く帰ろう！｣

｢最初からそうしろっての…じゃんけん負けてわざわざ休日買いに来てんだから｣


そうだ。
この間のミーティングの時に及川さんが…！

｢来週合宿なんだけど結構もの足りてなくてさー、誰か買いに行ってくんない？｣

正直なところ…主将だろ！自分で行けよ！って思ったけど…。

｢誰も行きたくねぇだろうがボケ！じゃんけんで決めるか｣

い、岩泉さん、何故そこでじゃんけんに…！
てなわけで、負けたのが私達2人だった。


｢私矢巾と来たくなかったわー｣


かごに入れながらそう呟いた。


｢おいおい、泣きたくなるからやめろよな｣

｢勝手に泣きなよ、だってナンパに走るしナンパに走るしナンパに…うん｣

｢…それはAが悪い｣

｢何で人のせいにするのよ｣


どこからそうなんのよ、と振り向く。
すると矢巾は口を開いた。


｢Aが俺のこと意識してくれねぇからだよ｣

｢…かまちょ？｣

｢違うわ！好きなんだよ、Aが｣


とち狂ったか…矢巾。
とりあえずこの雰囲気であらぬ返答をした。


｢だって私は矢巾好きじゃないんだもん｣

｢…マジで泣きそう｣

｢泣くのは早い。春高で見直すところがあれば可能性は1％くらい上がるかもね｣

｢1％かよ！？｣


もう精神的にもつれぇ…とかぼやいてる矢巾を置いて会計に向かう。
でもさ私、一言も嫌いとは言ってないよね。
それなりに好きではあるんだよ。


｢バーカ｣


振り向いてそう言うと矢巾は少し顔を赤くし、口を開いた。


｢お前がバカだよ｣


…そのまま返しやがった。
でも矢巾の方がよっぽどバカよ。
だって私は今、耳まで赤くなってるんだもの。
気づきなよ、バーカ。

京谷 賢太郎→←渡 親治

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