一色 ページ1
彼は昔、
何色にも染まらなかった。
個人の色を持っていなかった。
流されていた。
「二郎くんっ!
一緒に帰ろ?」
彼が青に染まったのは
一人の少女が関与している。
彼が青に染まるまで。
高校二年生の春。
転入生がやってきた。
アニメや漫画に出てくるような超美少女でもなく
超能力者でもなく、一般的な女子高生。
普通だった。
食パンを咥えて遅刻もしたりしなかった。
「えー、今年の春からこの学校に転入してきました。滑津Aです。
名字は難しいので名前で呼んでくれれば。嬉しいです。お願いします。」
最後に少しニコッと微笑んで見せて綺麗なお辞儀をすると、クラスの人から拍手がもらえる。
俺には関係ないか...などと山田二郎は思いながら机に突っ伏していた。
先「えー、では滑津は、あそこの一番後ろの席に座ってくれ。」
転入生なのでAは必然的に一番後ろの席で
一番最後の出席番号になる。
つまり、
山田二郎の一つ後ろの席であった。
「えっと...山田二郎くん、よろしくね。」
二「...」
その声に
山田二郎は反応しなかった。
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作者名:幻想曲の演奏 | 作成日時:2018年12月9日 21時