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 火事が起こったあの日。あの日は、そう、日曜日だった。私はパパと一緒に、朝早くに射撃場へと出掛けた。ママは朝が弱かったから、休日の早朝にママが起きて食事を作るまで、二人で銃の練習をするのは日課だった。
 その日は、私の後片付けが何故かいっとう遅い日だった。あまりにも遅くて、お腹を空かせたパパを待たせるのは申し訳ない、と思った私はパパに、先にご飯食べてて、と言って家に送り出した。そのあと、わずか数十分後にあの惨劇が起こるとも知らずに。


 射撃場からの1人の帰り道、やっと我が家の渋い色味の屋根が見えてきた。パパがどうしても和風建築の家を建てたくて、瓦の屋根を推したゆえの、真黒色の屋根だった。オレゴンの大自然には少しちぐはぐだったけれど、そんな自宅に私も両親も愛着を持っていた。

 いよいよ全体が見えるかというその時、突然複数の銃声が響いた。私はとっさに物陰に隠れた。心臓がばくばくと音をたてていた。その間も銃声は鳴りやまず、破壊的な音を鳴らし続ける。またひとつ鳴った銃声とともに、遠くから悲鳴が聞こえた。近所に住むおばさんのものだろうか。家からは悲鳴は聞こえない。でもやつらは、執拗に家の周りから中の様子を覗いている。そして、姿の見えない住人に業を煮やしたのか、犯人の男達がついに家の戸を蹴破った!(............パパ、ママ、どうか逃げていて!ああ、神様!)私は神に祈るしかなかった。家には秘密の隠し通路なんて存在しないし、シェルターもない。私は一応腰の銃に手をかけてはいたけど、この小さな銃には距離が遠すぎて、照準すら合わせられないことに気がつくのには数秒とかからなかった。しかしその後すぐに、「おい、時間がないぞ!そろそろずらかれ!」と男のうちの1人が叫ぶ声が聞こえた。

 それを物陰ごしに聞いて、助かった、と腰を抜かし、地面にへたりこんだのもつかの間のことだった。


 耳をつんざくほどの爆発音がした。

 恐ろしいほどの熱風と衝撃波が私のところまで届いてくる。あまりのことに、思わず飛び出した。やつらは、爆弾を仕掛けたのだ!自分達のテロの目撃者を誰1人として残さないために!

 私達の、家が燃えている。煌々と炎をあげてすべてを焼き付くさんとする勢いで、私のすべてを奪っていく。



 そうして私は気を失い、次に目が覚めたときには500年前の日本にいたのだった。

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作者名:らいらん | 作成日時:2018年6月8日 22時

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