ネコ科の同居人 その2【文豪ストレイドッグス】

たい焼き ページ8

Aside



「あ、そうだ敦さん」





ふと思い立って、話しかけてみる。





「何？」





敦さんはこちらを振り返って話を聞いてくれた。





「この前たい焼き屋さんに行ったんですけど」





「え、そんなことしてたの？」





「あ、言ってませんでしたね。ちょっと暇だったので・・・」





敦さんは成る程と納得した様子で無言で続きを促す。





「そこでたい焼き買って食べたんです。で、敦さんにあげようと思って一個残しといたんですけど」





「？」





ここまで言ってなんだが、なんだかこの先を言うのは気が引ける。でも、言わないといけない。





「・・・太宰さんに・・・間違えてあげちゃって・・・」





「え？太宰さんに？」





敦さんが驚いたように声を上げる。





「ごめんなさい・・・。太宰さんがお腹空いたなって呟いてた時に思わず・・・」





そう言って後悔する私を慰めるように、敦さんは少し慌てた様子で大丈夫だよと言った。





「別にそんなことで怒ったりしないし・・・じゃあ今度は一緒に買いに行こう？」





思わず顔を上げる。敦さんの優しい微笑みが見えた。





「いいんですか？」





「うん。僕もAと行きたいな。なんなら明日にでも行こうよ」





敦さんと一緒なのが嬉しくて、私はすぐに





「はい！行きましょう！」





と言ってしまった。





敦さんは餡子とクリーム、どっちにするんだろう。





考えるのが楽しかった。

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