▽帰るべき場所は ページ2
・
「お帰りなさい」
「おかえりー！」
「皆さんお疲れ様でした」
徐々に広い海が見えなくなる帰り道は心虚しく思ったが、此処へ帰って来てしまえばそんな気持ちも一気に吹き飛ぶ。
扉の向こうには全幹部が揃っていて、それぞれが何かしらの言葉をかけてくれる。
「ほら、せっかく帰ってきたんやからやるぞ！！」
「あん？何するつもりやねん」
嬉しそうに声を上げた水色の彼に赤色の彼が突っ込む。
ふふふ、と楽しそうに笑った桃色の彼が我慢できないといった様子で口を開く。
「祝勝会！まだしてへんかったやん」
「特別に敗戦国のご令嬢も混ぜたるわ」
『どうぞ、お気遣いなく』
「素直じゃない奴は好かれへんぞー」
ニヤァ〜っと笑う黄色の彼に、真後ろにいた黄緑色の彼がヤジを飛ばす。
意地悪への応酬でやんわりと辞退を申し入れれば煽りに徹していた彼はすぐに「冗談やん！」と発言を撤回した。
「はい、じゃあお偉いさん音頭とってや」
「帰ったばかりだっつーに…。お前ら乾杯！！」
「んっふふ、雑やなぁ」
紫の兄貴分にせっつかれた総統は大きな声で一言音頭を取る。
あちこちから乾杯の返事が返ってくる中、縹色の軍医は既に酔いの回った口調で呟いた。
「お疲れ、どうだった？」
「つーかれたー！聞いてほしいめうっ」
白い彼に声を掛けられた外交官はここぞとばかりに捲し立てる。
母国にいる間はずっと表情を崩さなかった彼だが、ポーカーフェイスの裏で疲労していたらしい。
「なぁ、場所代わってや」
「灰皿ですか？お取りしますよ」
「いや、俺のお隣さんがその……」
青い彼は煙草を吹かしながら栗色の彼に交渉を始める。
首を傾げて灰皿を寄せる紳士だったが、後続の説明を聞くと納得したような顔をして場所を代わってあげていた。
青い彼の言うお隣さんは紫の後輩なのだが、更にその隣に座っている大食漢の被害を受けているようで。
貼り付けた笑顔で黙々と食事を口に運ぶ後輩さんだったものの、次々渡される大皿の料理に顔色を悪くしていた。
「おかえり、早かったな」
『ただいま戻りました』
私の横の席に座った橙色の彼は、お酒のせいか既に顔から首まで綺麗に赤く染まっていた。
「どうやった里帰りは」
『久しぶりに海を見て、家族に会って』
敗戦したとはいえ悪いことばかりではなかった。
そう思ったままを拙い口語で伝えれば、彼は幸せそうな顔でふにゃりと表情を蕩けさせた。
「でも、これからは我々国が俺らの帰る場所やで」
ラッキー食べ物
すし
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宙(プロフ) - はぁ〜。面白かった！！(満足)欲を言えばゾムさん落ちが見たかった笑 (2020年9月7日 10時) (
レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - すずらんさん» こんにちは、コメントありがとうございます！そう言って頂けるのが一番の喜びですので、どうぞこれからも宜しくお願い致します。 (2020年2月12日 12時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - コメント失礼致します。とても楽しんで読ませて頂いております、最高ですありがとうございます… これからも楽しみにしております、応援させて下さい！ (2020年2月10日 15時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - スリジャワルダナプラコッテプリンさん» コメントありがとうございます！微力どころか皆様の応援が最大の力源となっております。ゆるりと進んでいきますのでお時間のある時に是非お付き合い頂けると幸いです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 澪華さん» こんにちは、コメントありがとうございます。1人目から随分更新が空いてしまったのですがそう言って頂けて幸いです。これからもゆったり進みますので何卒よろしくお願い致します (2020年2月9日 8時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2020年1月25日 15時
