▽天然軍医のトドメ ページ7
・
『(なん、え、は…？私、今……)』
もしかして、もしかしなくてもキスされた？
圧倒的に処理スペックの低い私の脳みそはショートしてしまっていて、私はその場にへなへなと座り込んでしまった。
全身が発熱したように熱い。
思考の回らぬ中で、私の唇と額は確かにオスマン様の唇の感触を残していた。
『(意外と柔らかかった……)』
違う、そんな感想が言いたいわけじゃないのに。
オスマン様は「考えおいて」と言ったが、冷静になった私の頭を真っ先に過ぎったのは前世で愛を告げた彼の事だった。
今でも彼が好きかと問われれば、迷わず肯定することが出来る。
にも関わらず、先程の行動は不可抗力とはいえ彼への裏切りなのではないだろうか。
「あれAちゃん？どうしたの」
『し、しんぺい神様』
「もしかして具合よくない？」
『いえっ、大丈夫です！』
未だその場にへたり込んでた私に声をかけたのは、心優しい軍医さんだった。
廊下の端で女が座り込んでたら心配もするだろう。我ながら軽率だった。
「ほんとかなー。Aちゃんすぐ無理するから」
『うっ……しかし、本当に健康そのものですから』
「そう？じゃあちょっと失礼」
ニコッと僅かに見える口元に笑みを携えた彼は、スッとその大きな手を私の額と首筋に当てた。
特に他意のない善意的な行動なのはわかっているが、手の触れた場所がさっきのキスと重なってピクリと体が震えた。
「んー、ちょっと熱いけど熱って程でもないかな？」
『はい。ですから大丈夫ですよ？』
「そうみたいだね、良かった」
さっと手を離すと、しんぺい神様はやはり人の良い笑顔でのほほんと微笑んだ。
顔の殆ど見えない彼はお医者様である故なのか、不思議な包容力がある。
『しんぺい神様は何方へ？』
「あぁ、だいぶ戦場が活発になってきたみたいだからね。軍医としてのお仕事をしに行くよ」
『そうなのですね、ご無事のお帰りをお待ちしております』
「……うん。ありがとうAちゃん」
戦場へ向かうという彼をあまり引き留めはいけないと軽く腰を折って無事の帰還を祈る。
照れたようにお礼を言われ、心がほんのり温かくなったのを感じた。
「…あ、そっか！」
『はい？』
「顔が赤いの、もしかして誰かに何かされた？」
『っ！？』
「当たった？」と邪気のない様子で告げる彼。
何故、今になってそこに突っ込むのか。意外な天然っぷりを見せた軍医は私の弁明を聞く事もなく戦地へと向かっていった。
ラッキーゲーム
hoi
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奥山乃愛(プロフ) - niさんやsnさんにも愛されたいです（恋愛的に）無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年11月2日 16時) (
レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - モモさん» お祝いのコメント感謝申し上げます。途中更新期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。ご期待に添えたものであれば幸いです、これからも是非にお付き合いくださいませ。 (2019年11月30日 23時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - 続編おめでとうございます。リクエストの小説も楽しく読ませて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m相変わらず言葉の言い回しが美しく素晴らしい作品だなぁと改めて思いました。冬は何かと忙しい時期になると思いますが、無理をしない程度に頑張って下さい(*^^*) (2019年11月28日 12時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 猫夢さん» こんばんは、好きの一言が何より嬉しいので無問題です…。ありがとうございます。 (2019年11月24日 19時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
猫夢(プロフ) - 語彙力がないけど言いたいので失礼致します。好きです... (2019年11月21日 13時) (レス) id: e485f856c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年9月22日 15時
