【50人クラフト】え！？参加勢でアイドルグループを作るんですか！？

2話 ページ2

母から喝を入れられ、口を尖らせつつ再度スマートフォンに目をやる。間違いなく、そこには嬉しそうに今後の報告をするKUNさんが居た。
カレンダーは4月1日ではないことを何度も確認したし、頬をつねっても両頬をバシバシと叩いても変わることのない画面。これは夢じゃない。

自分の脳みそのどこかが壊れたのか、まあ女参加勢の皆さんならアイドルグループにしてもかわいいだろうなぁ、などと考えつつ耳をすませていると飛び込んできたのはこの言葉。





「なんと！参加勢全員がアイドルになります！男も女も関係ありません！」





再度頬をつねった。痛い。めっちゃくちゃ痛い。

動揺する脳みそを自分でうまく説得しつつ、画面から入ってくる情報をまとめるとこうなった。

・50人クラフト参加勢はみんなアイドルになる
・今までの派閥のように、参加勢を数グループに分ける
・この方針を聞いて反発した参加勢はいなかった
・アイドルグループ化するのは新規視聴者を取り込むため

聞いていて自分の耳を疑った。KUNさんのやることではない。参加勢の皆さんも全員同意したなんておかしい。洗脳されてるのではないか？という考えまでよぎった。

案の定コメント欄は批判の嵐……と思われたがそこには賞賛と応援の声ばかり。「50人クラフトがここまで大きいコンテンツになるなんて！」「楽しみ！」「ライブとかあったりCDとか出るってこと？凄い！」エトセトラエトセトラ……

怖くなりYouTubeを閉じてTwitterを開く。こちらも変わらず賞賛の声どころか数日前の話題にも関わらずトレンド入りまで果たしてしまっていた。「50人クラフト」「KUN」「アイドル化」……

神の悪戯か、はたまた新手の終末論か、数カ月のうちに私だけパラレルワールドのようなものに飛ばされたのか。私は布団の中で震えた。
こんなはずじゃなかっただろう……

水でも飲もうとお菓子を片手に昼ドラを見ているリビングの母を通り過ぎ、ふらふらとキッチンに向かう。当たり前のことだが、水道水がいつも以上に無味に感じられた。

肺の空気を全て吐き出したような大きいため息が出る。もうあんな壊れた世界のスマートフォンなんか見てられるか。と思ったのもつかの間、

母がおもむろに回したチャンネルにでかでかと映し出されたのは"よく見た仮面"のふたり組だった。

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