#逢坂壮五 『雨の中、二人』 ページ5
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「うあー、最悪…」
買い出しに来ていた私は、帰る途中で雨に降られて足止めを食らっていた。
ちょうど一人分のスペースを見つけて雨宿りをしているがなかなかやみそうにない。
仕方ない、走るか…
そんなことを考えて走る構えになった時、目の前を歩く人に声をかけられる。
「Aちゃん?」
「壮五さん!」
「買い出し?傘がないなら一緒に帰ろう」
優しい壮五さんの言葉に甘えて壮五さんの傘に入れてもらう。
ちょっとラッキー、なんて思いながらも緊張している自分がいる。
「ごめんね、折りたたみだから小さくて」
「いえ全然!むしろありがたいです!」
「そう?それはよかったな」
壮五さんはそう言ってほほ笑む。
そんな壮五さんのきれいな顔に見惚れていると、肩をぐっと引き寄せられる。
さらに近くなった距離に焦っていると、壮五さんは言った。
「もっと近くに寄らないと濡れてしまうよ」
いつもはこんなこと言う人じゃないのに、と私は壮五さんの顔を覗き見る。
すると壮五さんは顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
私はその表情に少し安心し、壮五さんに言った。
「自分で言って何照れてるんですか」
「申し訳ない…環くんなら好きな女の子にこうするかなって」
「…へぇ」
「あ、いや!今のは聞かなかったことにしてくれ…」
それから、私は墓穴を掘りまくる壮五さんと雨がやんでも寮に着くまで同じ距離で歩いていた。
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1.9 - 一織と三月にキュンキュンしました! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 47aa25969b (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - ほこほこしました! (2018年10月18日 20時) (レス) id: a39dedaf45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーゆ | 作成日時:2018年10月7日 20時