32話 ページ32
今度こそはと、なんでそうなるの?!と口から出そうとすると晴がこちらを見て、何かを訴えかけていたことに気付いた。
まるでちょっと黙っていろ、という感じの雰囲気を醸し出している。
仕方がないからその場は黙って、話を合わせたけれど。
「なんでこんなことしたの?」
晴は少し顔を歪ませたが、すぐに重たそうに口を開いた。
ここで秘密にしても、私が永遠と聞き続けると悟ったのだろう。
……その通りだけども。
「あー……秘密にしておいて欲しいんだけど。雅、麻奈のこと好きなんだってよ。だから二人っきりにさせてやった」
一瞬、雅(ミヤビ)とは誰ですか、と聞きそうになる直前で、先程の名前の思い出せない男子の名前だと思い出す。
陽気で面白く、女子から人気そうだなぁと思わせる人柄だった彼。
まさか麻奈ちゃんを好きだとは、思ってもいなかった。
けど、麻奈ちゃん好きな人いないと言ってたような。
少し考えた後、まだ言わなくていいかと思考を放棄し、私は晴に一番思っていたことを投げかけた。
「お前……そんな気が利くこと出来たんだ」
「実久留、お前それ俺相手じゃなかったらブチギレてるからな??」
心の広い晴さんに感謝、と多少馬鹿にしたように笑う中、晴に対してほんの少しだけ意外と感じていた。
色恋沙汰に協力するような人物だとは思ってもなかったし、そもそもどうでもいいと放り投げる系の人種だと思っていたのに。
意外な一面を知ることが出来て、私の心は自然と跳ね上がっていた。
そんな私にある名案が浮かんだ。
「じゃあ、今日はなるべく麻奈ちゃんと雅をくっ付けよっか!面白そうだし!」
「面白そうだしって……」
まぁそれには賛成だけど、と笑われる一方で私は違うことを考えていた。
麻奈ちゃんと雅をくっ付ける、それは自然と私は晴と居るということになる。
つまり晴と話せる時間が増えるのだ。
我ながらずる賢く、ナイスアイディアだと思う。
笑みが溢れそうになるのを押さえ、私は晴に向かって口を開く。
「じゃあもう暫くアザラシ見てよっか」
その途端君は目を見開き、けれどすぐにパァっと笑顔を浮かべた。
「もう見なくてよくね??」そう言いながらも、私の隣に来てアザラシを見始める。
距離近い、そう思ったけれど……きっと偶然。
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです!続きもすごく楽しみになりました!更新頑張ってくださいね! (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みくるみちょこ | 作成日時:2018年6月3日 20時