31話 ページ31
あれから私は麻奈ちゃんに何も言い返せず、いつの間にか話がドンドン進んでいた。
……正確に言うと、顔の熱を冷ますことに必死だったから、会話に入っていなかったせいだけど。
完全に落ち着いた時には、もう既に行き先は決まっており、動物園に行くとのことだった。
動物園に行くなんて数年ぶりで、だいぶ変わっているんだろうなぁとか思いつつ、私はそれを了承した。
＿＿それが数十分前のこと。
現在動物園に無事着き、ライオンを眺めている3人を後ろから、ベンチに座りながら見ている。
別にあんな大きな肉食動物には興味がないので、足の疲労を和らげるためにベンチにちょくちょく座っていた。
足首が弱い人には立ちっぱなしは辛いすぎる。
それにしても……午前中というだけで、人が全くいない。
勿論小さな子供もいない。
子供特有のうるささが好きじゃない私には、ゆっくり回ることができる絶好の日だ。
ふと空を見上げると、うすい雲が少しだけある青空が広がっていた。
綺麗だなぁ、そう思いながらウトウトと遠目でライオンを見る。
百獣の王も流石にこの天気だと、気持ち良さそうに大きなあくびをしている。
「実久留、そろそろ行くよー」
麻奈ちゃんのその声で眠気が飛び、少し惜しい気もしたが返事を軽くし、ベンチから立ち上がった。
＿ ＿ ＿ ＿
「実久留」
「ちょっと待ってあと少しだけ、ほんのちょっとだから」
「それさっきも聞いた」
麻奈ちゃんが私の名を呼ぶが、私はそれに適当に返事をする。
本当ならば、顔を見て返事をするべきだろうし、こんな適当な返事を友人にしてはいけないだろう。
しかし、今はそれどころではない。
一時たりとも目を離せないのだ。
とても愛くるしくて、丸々とした＿＿
「……ねぇいつまでアザラシの前で突っ立ってなきゃいけないの?」
＿＿アザラシから目を離せない。
親の後を着いていく子供のアザラシを、目で追う度に全ての疲労がどうでも良くなる。
先程の足首の痛さなんて苦でもない。
「あぁ……かわいい…本当にかわいい……」
つい口からこう出てしまうのも気にならない。
目の前のアザラシが可愛いすぎて、それだけに集中していたい。
「置いてっちゃうよ」
そう麻奈ちゃんに言われ、行かなきゃいけないのは分かってるんだけど……ついつい足がここから動こうとしない。
「じゃあ二人でまわってきなよ。俺実久留と居るから」
そう言ったのは晴だった。
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フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (
レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです！ (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです！続きもすごく楽しみになりました！更新頑張ってくださいね！ (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みくるみちょこ | 作成日時：2018年6月3日 20時
