40話 ページ40
「いい、けど……」
晴の視線がチラリと廊下の方へと、何かを気にしているように移る。
勿論、その正体は私も分かっている。
テニス部の他の部員のことだ。
この状況を見られたら、絶対煩くなってとても二人では帰れない状況になることくらい、目に見えている。
「歩きながらでいいですかね」
「実久留がそれでいいなら」
廊下から騒がしい声が段々と鮮明に聞こえてきて、ちょっと待ってて、と晴は外靴を履き始めた。
刻々と、声は迫ってくる。
そうして、急ぐように玄関のガラス扉を開けた時だった。
……麻奈ちゃんはどうするんだ?
そうだ、そうだよ。
麻奈ちゃんはここまで待っていてくれたけど、それじゃあ彼女は一人じゃないか。
そんなこと出来るか、と足を止め、振り返った直後。
「あ、私は雅と帰るんでお気になさらず」
テレパシーかと言いたくなる程、ぴったりなタイミングで彼女はそう言い放った。
それに加え、これでもかという満面の笑みで見つめられたのでは、もう言うことが見つからない。
私には「あ……はい。じゃあまた明日ね……?」と曖昧な返事で、扉を閉める選択肢しか無かった。
ピシャリと扉を閉めると、先程の笑い声は聞こえなくなって、一気に世界が切り離されたみたいだった。
流石11月。月とか電灯がないと、何も見えないんじゃないかと思うほど、真っ暗な外が広がっている。
口から漏れた息が白くなっているのが、分かりやすい。
「んじゃ行こうか」
アイツらに見つかったら面倒だし、と晴は少し早めに歩き出す。
私も少し遅れてから、晴の斜め後ろを歩くように、踏み出す。横に並ぶのは何か違う気がするから。
そうやってお互いになにも言わずに、少し歩いて校門を抜けた頃。
「話、とは?」
ド直球に来たその言葉に、バクバクいっていた心臓はもう飛び出しそう……いやもしかすると、一瞬飛び出したんじゃないだろうか。
おかげで、さっきから全く晴の方を向くことができない。向こうとも思わないが。
「え、と……」
……しまった。
どうやって話を切り出すかなんて、練習もしてなかったし、考えてもなかった。
いきなりでいいのか?話の流れを吹っ飛ばして、そのまま言えばいいのか?
いやいや、少しくらい前置きを……。
あ、でも下手に何か言うより、素直に言った方が……?
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フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (
レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです！ (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです！続きもすごく楽しみになりました！更新頑張ってくださいね！ (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みくるみちょこ | 作成日時：2018年6月3日 20時
