元花柱の女の子5

176話 ページ7

父「…1週間……」



「ぇ…？」



父「ここに1週間だけ、休んでいきなさい…。ここは何も考えずにゆっくり出来るいい場所でもある。


ただし1週間を過ぎたら向こうにに戻ることを条件にする。

本当に死にたいと思うなら、それ相当の理由をつけてお父さんを説得しなさい。




ごめんな…。やっぱりAが死んでしまうことは簡単に受け入れられないんだ…。」



「お父さん…」






結局は私は死ぬことを許されなかった。


でも、お父さんも悩んで悩んで考えた結果がその答えだったということは充分過ぎる程にわかった。




美子さんもその案に納得したようで「…また1週間後ここに来てね、」と、悲しそうな顔をしてそういった。




「…わかった……」




私はそう答えることしか出来なかった。





「…お父さん、ここに、お母さんは、…いないよね……」





出来ればもう一度会いたかった。


けどお母さんはもう会えないのかな…





父「…あぁ、ここにはいないよ…」



返ってきた言葉は想像していた通りの言葉だった。



「…そっか、…ありがと……」






そう言って2人に背を向けて歩き始めた。


あそこにいてもちゃんと考えることが出来ない。






ゆっくりと時間をかけて決めたかった私は少し離れた場所まで行き、寝転んだ。







ここは不思議な空間だ。

お腹も空かなければ喉もかわかない。




空を見上げれば気持ちが落ち着く。







「っ…」




あの橋を渡れば楽になれる



お父さんの元へ行ける。





現代に戻れば師範もみんなも…




花呪蘭も“いる”。





死ぬ時は一緒って、言ってくれたから私が現代で眠っているだけだからきっと花呪蘭だっているはずだ。





帰りたい。


帰りたくない。



矛盾に交差する感情に追いつかず思わず涙が出てくる。




腕を目に当て溢れ出てくる涙を止めるように抑えてみるも涙は止まらなかった。








まだ時間はいっぱいあるのに気持ちの整理が全然つかない…。






「…おかぁ……さっ……」




ここにはいないのに、と思うと心が痛くなる。






師範は怒っているのだろうか…



みんなは怒っているのだろうか…





私が傷つけたこと、みんなは恨んでいるのだろうか。



















そんな時、リンと鈴のような音がした。










私の横に誰かいる。




私が今会いたい、安心させてくれる、そんな人が。

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