元花柱の女の子5

190話 ページ21

「…」



伏「悪い。困らせた。」




違う。

そうじゃない。




嬉しいの。

恵にそんなふうに思ってもらえて。



多分これは嬉し涙なんだと思う。




恵は友達として大好きだけど恋愛として見たことがなかった。



でも告白を断って今の関係が壊れるのも嫌、好きじゃないのに受け入れても恵にすごく失礼…。



答えなんて分からなかった。

返事に迷っていると恵が言った。




伏「…A。自分の気持ちに素直になれ。大丈夫だ、どんな答えであれ俺は受け入れる。

お前のことだから関係が壊れるとか思ってんだろ？笑」



「っ！」




全てを見透かしていて私が答えやすいように問いをくれる。




「…初めて出会った時、この子が同期なんだ、ちゃんと嫌わるようにしないとって思ったの…。でもみんなと打ち解け合えた時、恵は1番私のことを気にかけてくれた…

凄く嬉しかったの。私酷いことばっかりしたのに受け入れてくれたんだもん…。今の告白だって嬉しくて涙が出るほど私の心が暖まった。






…けどね、恵のこと、ちゃんと1人の男の人として意識したことなくてっ…友達としてはすごく大好き、なのにっ…




ごめんっ…私…恵の気持ちにっ…答えられないっ…ほんとにっ…ごめんっさ、……」




もう最後の言葉なんて何を言っているのか自分でも分からなかった。拭っても拭っても止まってくれない涙。


それでも恵は笑ってそっと頭を撫でてくれる。





伏「…それがAの答えなら俺だって納得する、ありがとな。」



「なんで…、そんなに優じぃのぉぉ…」




いまの私の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。




伏「泣くな泣くな！……ほら、ハンカチ」




もう私よりも女子力が高いよ恵…。
なかなか受け取らなかったら恵が自分から私の顔を拭き始めた。








・


「ずみまぜんでじだ…。」



伏「整理ついたか？」



「…まだ、ちゃんとできてない部分があるけど、めそめそしてても仕方ないから…。師範たちに怒られちゃうし笑


私、恵みたいに前に進む。」



伏「っ！…そうか。」







恵と話して分かった気がする。




私の本当の気持ち、お母さんが頑張れって言ったあの意味、恵には抱かなくて五条先生には抱くあの感情。


















嗚呼、私…














五条先生のことが好きなんだって。

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