毒舌なまふまふ（妹）がいよいよぶりっ子潰します+日常短編【歌い手】

第52話 ページ21

Eveside



彼女は涙を流した。



きっとしょっぱくて、綺麗で、涙を流す彼女もまた綺麗だった。









僕らは、映像室へ移った。




「本当は、不安で…たまらないの。


みんながいても、やっぱり精神的に傷つけられてるし…。


兄貴が目を覚まさないことで、兄貴の大切さを知った。


冷たくしてたけど、誰よりも大切な存在だった。



もうすぐこの学校を辞める。

寂しくて、悲しくて、逃げたと思われるのもいやだ。みんなとも別れたくないけども…

みんなのためにも、学校を辞める。




でも、本当は…｣




「不安でたまらない」「怖い」なんて言わせたくなくって、僕はどうしようもできず、彼女を抱きしめた。





E「もう何も言わないで。

今は、目の前のことを成功させないと。ね？」




いつも大口をたたいて素直じゃない彼女は、珍しく素直に従ってくれた。




仕込んだ映像をいつでも映せるように。











シーンは既に、美薫とSouくんが結婚式で、誓のキスを交わすところだった。


ここで、もう仕掛ける。






その、口と口がつきそうになった瞬間。







ﾊﾞﾝｯ







照明が落ちた。



協力は、先生だ。


歌い手のみんなには、舞台に出てもらうから。





ざわざわする講堂。




スポットライトがある一点に照らされると、ざわつきが止まった。




出てきたのは、シルクハットの似合う天月さんで、わざと派手にデコったマイクを握りしめている。





天「LADIES & GENTLEMEN！

さて！相川Aちゃんにやってきた、愛野美薫とクラスメイトと先生の醜い姿をさらけ出す時間だよ☆

クソみたいな裏切り者たちの真の姿を見よう！

白い目で睨まれ続けたAちゃんに謝ってもらうまで、僕らはなんでもし続けるからさぁ！


みなさん、スクリーンにご注目ください！」




☆なんかつけてるけど、なかなかゲスいセリフを吐いてると思う。



どこからか、絶句する美薫の声も聞こえた。



ぱっとスクリーンに映ったのは、醜い美薫の姿だった。







ｸﾞｻｯ


み『きゃぁぁぁあああああああ』



______彼女が罪をかぶせたことも







『何笑ってんの？w』


『負け犬wwwww』


『美薫のこと刺したくせに』




_______裏切ったクラスメイトのことも









全て、全て全てを、さらけ出した。




真っ赤な目の彼女を横目に、僕は舞台に立っている仲間たちとスクリーンをじっと見つめた。




そろそろ僕らも、舞台に行かぬと。

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