第三十二話 ページ33
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再会したカルボウを新たに仲間に入れ、南3番エリアを歩き回る。横ではミライドンが私の歩幅を合わせてトテトテと一緒に歩いている。
若干効果音が可愛らしい気がするがだいたい合ってる。
ライドポケモンがいるんだから乗って移動すれば良いじゃないかと誰もが思うだろう。だがしかし。
ここら一帯は狭く深い崖に囲まれている場所。
そして今のミライドンはまだ完全に力を取り戻せていないため崖登りや滑空、 大ジャンプができないため動きが制限される。
そもそもの話。
「アギャ……」
『大丈夫だから。これくらい慣れてる。』
私の骨が折れた。
簡潔に状態を説明すればそうである。
ミライドンは普通のジャンプならできるのだ。
だから深い崖があるところでも上から下に行くなら余裕である。ミライドンは。
問題はトレーナーである私の方。
彼が崖から地面にしっかり四足で着地した衝撃で左手首の一部の骨が折れた。
折れたと言ったら大袈裟か、ヒビが入った。
その時の双方の反応はこれである。
『あ、やば骨折れた。めんどくさ』
「アギャッッッ！！？」
バッ、と勢い良く振り向くミライドンと、ぷらんぷらんと折れた手首を揺らすトレーナー。
ミライドンは一切悪くない。自分の骨の脆さ加減を把握してなかったトレーナーの責任である。
『人間の骨なんて百本超えてるんだから、
たかが一本くらい平気だよ。』
「アギャギャ……、」
『ううん、駄目かぁ』
これにだいぶショックを受けたミライドンが私を乗せてくれなくなったのだ。
大丈夫だと何度も慰めたが、とぼとぼと私の横を歩き、
乗せる形態になってくれない。
『あ、ミライドン、その木の枝取って。』
「アギャ？ギャッス」
『ありがとな』
しょぼん、としている彼の足元にちょうど良いものが
あったので取ってもらう。
腫れた部分に当てていた濡れハンカチを退け、貰った木の枝を添え木代わりにして包帯で手首を固定する。
布を三角巾のように畳み肩から腕を吊った。
怪我をするのは慣れてる。昔から自分で手当してたし。
痛くないわけじゃない。ただ慣れただけだ。
痛みにも、自分で手当てすることにも。
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作者名：瑠璃 | 作成日時：2022年12月18日 21時
