第三十一話：岩壁のヌシ ページ32
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気を取り直して。
ミライドンに走ってもらいしばらくして、南3番エリアに辿り着く。
ここに来たのは岩壁のヌシ討伐もあるが、一番は仲間探しである。
確か前世ではここら辺でカルボウをゲットしたはずだ。
こんな崖に囲まれたところに炎単体タイプのポケモンがいるんだなぁ、と思ったものだ。
プレイヤーとしてここを歩いてよく迷ったのを覚えている。ぐるぐる歩き回ってるうちにデカいガケガニ発見したんだよね。
カルボウが出てきやすいようにと、ここまで走ってくれたミライドンを労るためにピクニックをすることにした。
課外授業に出る前に旅先で長期間持つ缶詰めなどの食材を買ってあったのだ。
もちろんポケモンたちが食べるサンドウィッチ用に。
『確か炎ポケモンが出やすい食材は赤パプリカだったよね』
テーブルクロスを広げた皿の上で、ケチャップとマスタードを塗ったサンドウィッチに具材を盛って完成だ。
『出来た！みんなー、サンドウィッチ出来たよ。』
人が近くにいないので、にこにこと相棒たちに笑みを
向ける。
彼らだけなら作り笑いをしなくて良いから楽だ。
用意したサンドウィッチをそれぞれ食べる様子を眺める。
焼くとか煮るって作業があったら無理だけど、具材をパンに挟むだけなら私でもできる。
ペパーとかなら、ちゃんと自分で調理した食材を挟むんだろうな。………なんで思い出した？
『……馬鹿らしい。……んっ？』
ぼそ、っと毒を吐くと服を後ろ手に引っ張られる感覚が
あった。
足元を見ればズボンをちょいちょい、と掴むカルボウ。
『どうした？君もサンドウィッチ欲しいのか？』
人懐っこい性格なんだなと、屈んで目線を合わすと
ふるふると首を振られる。
違うのか。じゃあなんで寄ってきたんだろ。
サンドウィッチを食べていたニャローテがカルボウに話しかけ、何やら会話をしている。
そしてそれが終わると指を差してこちらに訴えかけてきた。
『……私の子？』
「！！ッボウ！ボゥー！！」
何となく流れ的にそうかなと問いかければ当たりだったらしい。気まぐれな性格な筈だが、今は私の胸に飛び付いて甘えにきた。
うん、可愛いけどそれ以上力入れられたら骨折れちゃう。今の私の体笑っちゃうくらい脆いからな。
足の間にいる彼と目を合わす。
『改めてよろしく、カルボウ。』
「ボゥッ！！」
後ろでミライドンに背中を支えてもらいながら、
再会できたカルボウの頭を撫でた。
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作者名：瑠璃 | 作成日時：2022年12月18日 21時
