第十三話 ページ14
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門を開いてテーブルシティに一歩踏み出す。
そこには美しい街並みが広がっていた。
中央の奥地にはこれから通う予定のアカデミーの
立派な建物がそびえ立っていた。
『学校、か…』
「どうしたの？」
『…ううん。すごく大きくて綺麗なところだね。』
「そうでしょ！この街はパルデア地方最大の都市で、
昔から交流が盛んな場所なんだ！」
少し震えた手を抑え込み、笑みを向ける。
褒められて嬉しいのか、テーブルシティについてたくさん説明してくれるネモの鈍感さに感謝した。
鈍感なのか、私が取り繕うのが上手いのかは分からないけれど。
「Aは興味のある所に行ってきなよ！
私はテラスタルの手続きやってくるね！」
『うん、ありがとう』
バトルの為なら相手の手続きもするんだな。
ネモが学校へ行ったのを確認して、帽子のつばを下げる。
人が多いとつい下を向いてしまうな。
学生が多いから制服は良いのだが、この顔にあの目の色だと目立ってしまう。
もう隠さずに堂々といようとは思うのだが、
昔についた癖は中々直ってくれない。
ニャローテをボールから出して連れ歩く。
あまり大所帯になるのは周りの迷惑にもなるので、食事をする時以外は他の子はボールの中だ。
ローテーションで回すので、そんなにボールの中で抗議しないでほしい。特にパモット。
ピクニック用の食材は学校が終わってから買いに行くとして、一通り見たいところは見て回れたので、アカデミーの方へ歩みを進める。
『……っ、っっ…、』
長い階段を一段一段踏み進めるごとに、足取りが
鉛のように重くなっていく気がした。
もう大丈夫。分かってる。前世の記憶も戻ったし、
見た目通りの精神年齢じゃない。
大丈夫って思うのに。
ポタリ。首元から冷や汗が床に落ち、呼吸がだんだんと浅くなる。これが決して疲れからじゃないことは、自分でも
分かってる。
相当トラウマになってるんだなと、客観的に見つめる
自分がいた。
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作者名：瑠璃 | 作成日時：2022年12月18日 21時
